Netflix、コロナ禍の韓国で存在感を増す SF映画「勝利号」が劇場上映を断念して配信を決断
2020年12月18日 20:00

韓国のSF映画「勝利号(原題)」(英題:Space Sweepers)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、Netflixで全世界配信されることが決定。複数の韓国メディアが報じている。
「勝利号(原題)」は、2020年度の韓国映画業界で注目を集めていたエンタメ大作の1本だ。監督は「探偵ホン・ギルドン 消えた村」のチョ・ソンヒ。「私のオオカミ少年」のソン・ジュンギ、「お嬢さん」のキム・テリが出演し、製作費は約240億ウォンが投じられている。元々、今夏に公開される予定だったが、コロナ禍によって、9月23日まで封切りを延期。その後、感染拡大が収まらなかったため、劇場での上映を断念。Netflixでの世界配信に踏み切った。
韓国メディアの報道によれば、Netflixが独占配信権を獲得するために提示した金額は、約310億ウォン。つまり、製作費のリクープに成功し、約70億ウォンの利益が生じている。劇場公開となれば70億ウォン以上を稼ぎ出した可能性もあるが、現在の韓国映画市場は“ほぼ停止状態”。Netflixへの売却は、最も安全な手段だと言えるだろう。

劇場公開ではなく、Netflixでの配信へ――この事例は増加している。11月27日からNetflixでの配信がスタートした「ザ・コール」も、当初は今年3月に劇場公開を予定していた作品。また、ベルリン国際映画祭で話題を呼んだ「狩りの時間」は、韓国を含めた多くの国・地域での劇場公開が決まっていたが、最終的にはNetflixでの配信となった。第77回ベネチア国際映画祭に招待された「楽園の夜(原題)」(英題:NIGHT IN PARADISE)も、Netflixでの独占配信の可能性が高いと噂されている。
従来通りの劇場営業が行えない現在、韓国では多くの新作が「スクリーンで上映ができない」という苦難に直面している。資金調達という面を考慮すると「Netflixでの配信」という手法は、現時点では最良の選択肢なのかもしれない。実際、多くの製作者たちがNetflixと配信権の相談を始めている。「勝利号(原題)」のケースが示すように、“劇場上映を行わなくても資金が回収できる”というメリットは、投資側にとっては悪くない話。だが、劇場にとっては最悪の局面を迎えているといっても過言ではない。今後、作品が直接Netflixで配信されるという手法が一般的になってしまったら……映画業界全体に激震が走ることは間違いない。

Netflixは、韓国国内での事業を拡大中。Netflixオリジナルシリーズ「Sweet Home 俺と世界の絶望」は、「トッケビ 君がくれた愛しい日々」「ミスター・サンシャイン」のイ・ウンボク監督による人気ウェブ漫画の実写化(本日12月18日からNetflix独占配信スタート)。同作の1話当たりの制作費は約30億ウォン。総制作費は韓国歴代最高の額だという。また、ソウルに「Netflix Entertainment Korea」を設立。今後、韓国コンテンツの企画・製作に参入することが決まっている。先行き不透明なコロナ時代、Netflixが韓国の映画業界の構造を変えてしまうかもしれない。
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