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天蓋付ベッド、浴室に鶴…実在した釧路のラブホを再現 波瑠主演「ホテルローヤル」絵コンテ公開

2020年10月23日 12:00

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釧路湿原をイメージした部屋
釧路湿原をイメージした部屋
(C)桜木紫乃/集英社 (C)2020映画「ホテルローヤル」製作委員会

直木賞を受賞した桜木紫乃氏の自伝的小説を、「全裸監督」の武正晴監督が波瑠主演で映画化した「ホテルローヤル」。このほど、物語の舞台であり、2012年まで実在した釧路のラブホテルの内装の絵コンテと、原作者の桜木氏、武監督のコメントが公開された。

映画は、誰にも言えない秘密や孤独を抱えた人々が訪れるラブホテルと共に人生を歩む主人公が見つめてきた、切ない人間模様と人生の哀歓を描いた物語。舞台となった「ホテルローヤル」は2012年まで釧路に実在していたラブホテルである。このホテルを実家とする桜木氏は、これまで生まれ育った北海道を舞台に、その土地に暮らす男女の営みを静謐なタッチで書き続けた。父親が営んでいたラブホテルの名前がそのままタイトルとなった原作は、7編の短編で綴られ、2013年に第149回直木賞を受賞した。

ラブホテルの詳細な描写が特徴的な本作は、桜木氏が描き起こした見取り図を元に、営業当時の日常をヒアリングしながら美術に反映させた。美術を担当した黒瀧きみえ氏曰く「非日常のイメージを大事にしました」「部屋のドアを開けた時に『わあ…!』となる空間にしたかったんです。外が見えないセットの中で、釧路湿原をイメージして部屋の壁やバスルームに丹頂鶴やキタキツネをあしらいました。ベッドが置かれている床には、上から俯瞰で撮られることを想定して蝦夷つつじが描いてあるんです」と、北海道を舞台にした作品ならではの美しさを追求した。

撮影現場でセットを見た桜木氏は「ラブホテルを訪れた人が、どんな表情をするかまで計算されているセット。プロの『仕事』はどんな時も『刺激』の一言に尽きます」と感激をあらわにし、「ホテルの部屋に用意されているものや販売グッズは、経営者が大真面目に取り組んで用意したものです。『人間って滑稽で切ないよなぁ』という、小説で最も伝えたかったことが、部屋のデザインや小道具のひとつひとつから伝わってきました」と、自身の体験や小説に込めた想いを交えながら絶賛した。

桜木氏の持つ世界観を厳密に映画に落とし込んだ武監督は、「小説を読んで、明らかに一つの部屋が軸になっているのが分かったので、このホテル、そして部屋をもう一つの主人公に出来ないかと考えました」と語り、北海道での撮影を決行。「今はもう実存していない実際のホテルローヤルと、今の釧路で出会ったロケーションとのマッチングで、美術的な設計図を考えました。本来は北海道に行かなくても東京でセットを組めばいいのですが、そういう作品でも無かった。北海道に行くことで最大のオリジナリティが出せました。行ってよかったです」と、強いこだわりを明かしている。

ホテルローヤル」は、11月13日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。

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