短編動画専門ストリーミングサービスQuibi、わずか半年で終了
2020年10月23日 11:00
携帯端末専門の新動画配信プラットフォームとして今年4月に北米でローンチしたQuibiが、わずか半年でサービス終了となることになったと、米Deadlineが報じた。
Quibiは、長年にわたりドリームワークス・アニメーションを率いたジェフリー・カッツェンバーグと、eBayやヒューレット・パッカード・エンタープライズの社長兼CEOを務めたメグ・ホイットマンが2018年に立ち上げた新興メディア企業で、携帯端末向けに1本10分以下のプレミアムコンテンツを提供。4月6日(現地時間)にアメリカとカナダでローンチされ、スタート時には50を超えるオリジナル番組を用意。その後も、コンテンツを増やしていた。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大による消費者生活の変化と、ディズニーやワーナーメディア、NBCユニバーサルといった巨大メディア企業が相次いで独自のストリーミングサービスを立ち上げるなかで存在感を失っていた。また、アナ・ケンドリック出演の「ダミー」やキーファー・サザーランド出演の「逃亡者」のリメイクなど、有名俳優を起用したコンテンツを用意していたものの、Netflixの「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や、Disney+の「マンダロリアン」のような社会現象となるオリジナルドラマをスタート時に生み出せなかったことも響いた。
プレスリリースを通じて、カッツェンバーグは「Quibiがスタートして以来、世界は劇的に変化しており、私たちの単独のビジネスモデルはもはや通用しません」と説明。「Quibiを何百万台ものモバイルデバイスに提供するために協力してくれた従業員、投資家、タレント、スタジオパートナー、広告主の皆様に心から感謝しています」
現在、経営陣は配信事業の売却から、100本以上あるコンテンツの個別販売まで複数の選択肢を検討しているという。メディア企業や投資家などから出資された約18億ドルの資本金うち、約3億5000万ドルが残る予定だという。
Quibiには、ディズニー、eOne、フォックス、ITV、ライオンズゲート、MGM、NBCユニバーサル、ソニー・ピクチャーズ、バイアコム、ワーナーメディアなどのハリウッドのメディア企業や、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、リバティ・グローバル、マドローン・キャピタルなどの銀行や投資ファンド、中国のアリババグループなどが出資している。