トランプ大統領が批判、一時公開中止になった問題作 富裕層の“人間狩り”描く「ザ・ハント」10月公開
2020年9月3日 08:00
[映画.com ニュース] ドナルド・トランプ米大統領が痛烈に批判し、一度は公開中止に追いこまれた問題作「The Hunt」(原題)が、「ザ・ハント」の邦題で、10月30日に公開されることがわかった。富裕層が庶民を相手に、娯楽として“人間狩り”を行うという衝撃的なテーマを扱い、現代アメリカ社会を過激に風刺した内容が物議を醸した。「ゲット・アウト」「アス」のブラムハウス・プロダクションを牽引するジェイソン・ブラムが、製作を担っている。
現代のアメリカを二極化する上流階級と庶民の分断、インターネット上にはびこる政治的陰謀論、SNS上でのヘイト発言などの問題を人間狩りに置き換え、残酷なバトルロワイヤルを描いた本作。2019年9月27日の全米公開を控える時期に発生した銃乱射事件もきっかけとなり、トランプ大統領が作品名こそ挙げなかったものの、Twitterで批判を述べる事態となり、ユニバーサル・ピクチャーズは公開を一旦白紙に。日本でも、20年2月26日の公開が中止となっていた。
そして全米で3月13日に封切られ、日本でも新たな公開日が決定。ベティ・ギルピン(「僕のワンダフル・ジャーニー」)が狩られる側として恐怖に突き落とされる庶民階級の女性を演じているほか、2度のオスカー受賞を誇るヒラリー・スワンク(「ミリオンダラー・ベイビー」)、ジュリア・ロバーツの姪としても知られるエマ・ロバーツ(「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」)が共演した。「死の谷間」のクレイグ・ゾベル監督がメガホンをとっている。
予告編の冒頭では、豚とともに「全米が封印した今年最大の問題作」というセンセーショナルな言葉が踊る。最初に映し出されるのは、プライベートジェットで優雅にくつろぐ乗客たち。しかし、突然“目覚めた”巨漢の男が現れ機内はパニックに。ある女性がスマートに制圧し、「一緒に始末して」と言い放つ姿が活写されている。
そして場面は変わり、拘束具をはめられた12人の男女が、森の中で次々と覚醒。草原の中の大きな木箱には、殺傷能力を持つ武器の数々が入っていた。やがて集められた人々は、セレブが一般市民を拉致し、娯楽のために狩るという都市伝説のゲーム“マナーゲート”が実在し、自分たちの身が危険に晒されていることを知る。注目すべきは、高い戦闘能力を持ち、次々と敵を倒していく女性クリスタル(ギルピン)。やがて彼女がたどり着いた大豪邸では、セレブのアシーナ(スワンク)が待ち構えていた。アシーナの高笑いが響くなか、「観るか、観ないかはあなた次第」という挑発的なメッセージで、映像は締めくくられている。
ポスターは、豚の横顔の下に「これは“人間狩り”アクションです」の注意書きが配置されたもの。背景には、「国の2極化を煽る」「不適切」「病的な殺人ファンタジー」など、全米メディアのコメントが並ぶ。果たして豚は、何を意味しているのか――想像力を掻き立てる不穏なビジュアルが完成した。
「ザ・ハント」は、10月30日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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