ルーカス・ヘッジズ「ハニーボーイ」出演の決め手はS・ラブーフ 監督絶賛の役づくり&作品考察も明らかに
2020年7月29日 18:00
[映画.com ニュース] シャイア・ラブーフが長編映画の脚本家デビューを果たした「ハニーボーイ」に出演する若手実力派俳優ルーカス・ヘッジズの新場面カットとメイキング写真がお披露目された。ヘッジズは、俳優として大きな影響を受けたというラブーフが出演の決め手になったことを明かし、役づくりの過程や作品について語っている。
2019年のサンダンス映画祭で審査員特別賞(ドラマ部門)を受賞し、米批評家サイト「Rotten Tomatoes」で94%(7月28日時点)を記録した注目作。「フォードvsフェラーリ」「クワイエット・プレイス」シリーズの注目子役ノア・ジュプが主演し、脚本を手掛けたラブーフも出演している。
ハリウッドで人気子役として活躍する12歳のオーティス(ジュプ)は、マネージャーを務める愛情表現が不器用な父ジェームズ(ラブーフ)に振り回され、ぶつかり合う日々に苦悩していた。オーティスは、自分を心配してくれる保護観察官トム、モーテルに住む隣人の少女シャイ・ガール、撮影現場の大人たちとの出会いを経て、成長していく。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で第89回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、「WAVES ウェイブス」(公開中)や「mid90s ミッドナインティーズ」など話題作が絶えないヘッジズは、本作でオーティスの10年後の姿を演じる。子役にして一躍ハリウッドスターの仲間入りをするが、アルコール依存に陥り、更生施設に入るという役どころ。やがてPTSDの兆候があると診断され、元凶が父親であることに気付き、もがきながらも向き合おうとする。
ヘッジズはラブーフについて、「彼は非常に重要な俳優で、僕は彼の影響を大いに受けているんだ」と胸中を吐露。ラブーフの外面と内面を捉えるため、本人と接し、出演作を見て観察するなど研究を重ね、そこで得たものから不要だと思えるものは全て排除したという。「役柄を豊かにすると思えるものをどれくらい取り込むかとか、どこで自分の本能に従うかといったことを、慎重に考えなければならなかった。僕が演じるオーティスは、自分の父親が普通の父親らしくなってくれることを望む反面、そんな父親にさえ認められたい、愛を受けたいと思っているんだ」と思慮をめぐらせる。
さらにメガホンをとったアルマ・ハレル監督にも言及。「アルマ・ハレルは、ドキュメンタリー映画の制作を通して、どんな風に撮影すればありのままを捉えることができるかという感覚を研ぎ澄ましてきた。彼女は、良い演技を作り出すことよりも、心理状態や、その瞬間瞬間に興味があるんだ。彼女の作品は全て、現実と超現実の間、現実と空想の間の境界線が曖昧になっているようだ。その両方の世界の最高の部分を引き出せるんだ」と、その演出を絶賛した。
対するハレル監督も、ヘッジズの演技だけではなく、作品を選ぶ視点や考察に感心しきりだったといい、「脚本家か監督かは分からないけどいつか、必ず作り手側になると思うわ」と賛辞をおくった。
場面写真は、泥酔して自動車事故を起こし、更生施設に入ったオーティスをとらえたもの。「ハニーボーイ」は、8月7日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開される。