日本映画界を支える俳優陣が豪華競演 石橋蓮司主演作「一度も撃ってません」撮影現場に潜入
2020年3月28日 16:00
「大鹿村騒動記」「半世界」の阪本順治監督、「野獣死すべし」「探偵物語」の丸山昇一脚本によるハードボイルドコメディ。ハードボイルドを気取る時代遅れの小説家と伝説の殺し屋という2つの顔をもつ主人公・市川を演じる石橋のほか、大楠道代、岸部一徳、桃井かおりという、故・原田芳雄さんとのゆかりも深いベテラン勢、佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡ら脂の乗った中堅勢と柄本佑、寛一郎ら勢いのある若手まで、日本映画をけん引する豪華キャストが顔をそろえる。

2018年の12月、東京・調布の日活撮影所内に主人公たちが集う雑居ビル地下のバー「y」のセットが建てられた。抑えた照明にタバコの煙が立ち上る店内、一枚板のカウンター、アンティークな椅子やテーブル、店主の趣味や客層の趣味をにおわせる書籍やアートが飾られた、古きよき大人の遊び場だ。スクリーンには映らないであろう、薄汚れたダクトやこじんまりとした調理場まで再現する美術チームのこだわりに驚かされる。
取材陣は、バー「y」前で行われた乱闘シーンから見学。薬の売人を演じた柄本佑が複数の警察官に見つかり、取り押さえられる場面だ。スーツの内側にプロテクターを付け、身体を張った場面ゆえ、セット内に緊張感がみなぎる。そして、岸部一徳が演じる刑事の石田が飄々と現われるシーンに変わり、空気が一変。これら一連の時間は一体どんな映像に仕上がるのか、完成への期待が高まる。
シーンは異なるが、今作では柄本明と佑が親子で出演しており、石橋は「佑は“おしめ”の時代から知ってますからね。ずいぶん大人になったんだなと。休憩時間になると、親父の友達だという感じで話してきますしね。素晴らしい役者になっている」とその成長ぶりを称える。

その後は、バーカウンターに集った石橋、岸部、桃井といういぶし銀の俳優たちのアドリブ合戦。酔った石田(岸部)がひかる(桃井)を冗談交じりに口説くという一場面で、石橋が男性器がそそり立つ様をジェスチャーで伝えると、桃井が素で吹き出す。盟友関係の3人ならではこその、実際に飲酒をしているような“こなれ過ぎた”やり取りに、モニター越しの阪本監督も大笑い。ここでは数テイクが行われ、現実と虚構がない交ぜになった、撮影現場ならではの魔法のような時間が流れていた。
石橋は、自身の役柄を「とにかく脚本ができるまで、どんな話になるのかな全然知りませんでした。(脚本の)丸山昇一さんとは、70年代初頭に、Vシネも含めていろいろやらせてもらっているので、ハードボイルドアクションになるのかな。体力の問題はどうなるのかな、と一瞬心配になりましたが、本を読んで、あ、なるほどな、と。言ってみれば自分の夢を、時代遅れになろうとも貫徹しようという作家」と説明。久々の主演ということで「一番嫌なことは、撮影が終わって一杯飲めないということ。夜の撮影が多いので、健康を気遣ってくれているのかもしれませんが。酒が飲めないので、少し体力はついたかもしれません。特別に何もやってませんが、飲ませないというスタッフの陰謀ですね(笑)」と、演技とはまた別の苦労を明かす。

そして、旧知の仲間との共演について「(桃井)かおりは女優というより身内だと思ってるから、『おお、久しぶりだな』っていう身内感覚。でもかおりの遊びにつき合わされると、ハードボイルドが壊れちゃうから(笑)、そこに付き合わないようにがんばってる。(岸部)一徳も身内みたいなもの。結局今回のメンバーは、原田芳雄の周りに集まっていた人間だから、ここに芳雄がいないのはあれっていう感じで、非常に和気藹々とやらせてもらっています。演技でぶつかるのは久しぶりなので、ニコニコしながら『コノヤロー』って思ってますよ。ある意味で楽しい緊張感を持ってやらせてもらっています」と報告した。
「一度も撃ってません」は4月24日から全国公開。
(C)2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ
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