「滑稽なことは美しい」池田エライザ、「FOLLOWERS」ヒロインに全力で共鳴
2020年3月9日 13:00
東京で夢を追う女性たち、SNSで変化する人間関係をリアルに描いた蜷川実花監督のNetflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」が配信された。中谷美紀とともにメインキャストを務めるのは、「SUNNY 強い気持ち・強い愛」「貞子」など近年の話題作で抜群の存在感を見せ、初監督作「夏、至るころ」(今年公開)も待機する池田エライザ。蜷川監督の現場、そして役作りを振り返った。(取材・文/編集部、写真/松蔭浩之)
池田が演じたのは、女優になる夢を抱いて上京したもののなかなか芽が出ず、挫折を経験しながらも、人気女優に成長していく百田なつめ。常に向上心と反骨心を持ってチャンスをつかむが、思わぬピンチも訪れる。池田自身もモデル経験を経て女優に…というなつめと同様のキャリアを持つが、「なつめは私じゃない、って思わないとやっていけませんでした」と語る。
「彼女は同情なんかされてたまるかというタイプ。だから、考えなしにとにかくなつめに全力で共鳴する。それが私にできたなつめの見せ方だったのかなって。説明的にならないように、あくまで自然体に。私はどうしても明るく見せようとがんばっちゃうときがあるので、それが課題でした。なつめの場合は含みを持たせ過ぎず、賢く見せすぎず…を心がけて。時に、本当に何も考えずに言葉が出てるときってあるじゃないですか、そういう瞬間をつかみながらやっていくことが、若者らしさなんじゃないかな。って」
「なつめを演じて、滑稽なことは美しいことだと思ったんです。なので、なつめが一暴れするまでは『つまんない女だな』なんて思わずに、パワフルでかっこいいかも、どこか自分にもそういう部分があるんじゃないかと照らし合わせてほしいんです」
ドラマは中谷美紀が演じる写真家・奈良リミと、その仲間たちとの友情や仕事への向き合い方を映す“大人パート”、なつめを中心に、コムアイ、上杉柊平らが演じる、何者かになりたい若者たちが、もがきながらも前進する“若者パート”が巧みに交錯しながら展開する。
「このドラマは女性だけに向けた物語ではありません。様々なジェンダーの登場人物が当たり前のように親友としてその場にいて、誰も何の違和感を感じず人格としてみんなが互いに好きで。今を生きる全ての人間に贈るお話。“若者パート”の代表として見ていただきたいのは、『とことん落ちても、すぐに這い上がれるよ』というシンプルなところ。若いとどこまでもどん底に落ちていくけど、それは世界を知らないだけ、なつめが人に八つ当たりするのはまだ20年近くしか生きてなくて、想像力が足りないから。今、いろんなことにやりづらさを感じている、若い人に寄り添う女の子だと思っています」
蜷川監督とは10代の頃から付き合い。しかし今回は、モデルの仕事とは違った蜷川監督の一面を見られたという。「これまでの(モデルの)仕事はお互い短気集中型。自由に動いて、シャッターを押して、『はい、解散!』という働き方をしていました。ドラマは楽しいというか、嫌なことのない気持ちの良い現場でした。特にいつもと違うと感じたのは、いつもクイックな実花さんがお芝居となると、非常にエモーショナルになるんです。指示は的確ではあるのですが、実花さんの弱い部分を見せてもらえた。演出されている私と、演出している実花さんとの関係性が素敵な空間でした」
「FOLLOWERS」のクランクアップ後に、池田の初監督作「夏、至るころ」の撮影に入った。蜷川監督の現場で得たものを自身の現場で活かせたと振り返る。「『FOLLOWERS』とは全く違う素朴な田舎のお話ですが、池田組も気持ちよく円滑に終わることができました。それは、クランクイン直前まで、実花さんの演出方法や立ち振る舞いを見ていたからかもしれません。実花さんは、『本当に疲れた!』っていうときでも、素敵なシーンが撮れるとぶっ飛んで喜んだり、演者が緊張していると、集中してモニターを見てくださったり。そういうところに感銘を受けて、私もそうでありたいな、っていう気持ちを常にキープできたからだと思います」
モデル、女優業のみならず、クリエイターとして多方面で活躍する池田。とりわけ尊敬する表現者はジュリエット・ビノシュだそう。「私には全くないいじらしさがある。私も性格は十分いじらしいと思うんですけど(笑)。私のイメージはストロングだと思われているので、ビノシュを見ると落ち着くんです。女性のかわいらしい部分が、すごく誇らしく感じて、撮りたいなって、思っちゃいます。こういう女の子を間近で撮れたら、男性に興味なくなっちゃうんじゃないかな…って思うくらい素敵。レオス・カラックス作品での、特にドニ・ラバンとの掛け合いなんか、ウーっときちゃいます」と、カメラの後ろに立った目線で語る。
そして、今後の展望は「素敵な人との素敵な縁を感じたら、その方々と面白いものを作りたいし、そういった縁を大事にしていきたい。あんまりこれ、というものにこだわらず、常に嗅覚を敏感にして、喰いついていきたい。そして、私生活はゆるやかに、おだやかに、いつもどおり引きこもっていきたいです」と宣言。プライベートでは話題の配信作品から最新劇場公開作まで幅広く鑑賞するそうで、「年末に大きいテレビを買って、今すっかりテレビっ子。映画館にも行くので大忙しです」と微笑んだ。
「FOLLOWERS」は、Netflixで全9話世界190カ国へ独占配信中。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。