ソン・ガンホ、「パラサイト」は「ポン・ジュノ監督の芸術家としての到達点」
2019年12月26日 17:30

[映画.com ニュース]第72回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「パラサイト 半地下の家族」を手がけたポン・ジュノ監督とキャストのソン・ガンホが12月26日、東京・有楽町のザ・ペニンシュラ東京で会見を行った。4度目のタッグとなった2人が揃って来日するのは、「グエムル 漢江の怪物」(2006)のキャンペーン以来13年ぶり。会見では息の合った掛け合いを見せてくれた。
本作は、全員失業中の貧しい一家と、IT企業を経営する裕福な社長一家という相反する2つの家族が織りなす人間ドラマ。第92回アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表作となり、第77回ゴールデングローブ賞では監督賞、脚本賞、外国語映画賞の3部門にノミネート。オスカー前哨戦でもさまざまな賞を受賞している。
ポン監督は、世界で旋風を巻き起こしている本作について「全く予想していませんでしたが、私としては楽しいアクシデントとして受け止めています。ソン・ガンホ先輩たち全キャストが見事なアンサンブルを見せてくれたので、俳優の魅力が大きいと思います」と俳優陣に感謝した。
ソンは「この物語は、韓国に限らず、私たちが生きている地球のどこにでも起こりうる物語だからこそ、多くの共感を得られたのではないかと」と作品の魅力を語る。そして「私は、本作が称賛されるのは、ポン・ジュノ監督が20年にわたって積み重ねてきた努力の賜物だと思っていて、彼の作家としての野心が実を結んだものだと捉えています。ある意味、ポン・ジュノ監督にとって、芸術家として1つの到達点になった作品ではないかと」と絶賛した。
脚本段階からソン・ガンホを想定し、あて書きしていたというポン監督だが、ソンは「4年前に『貧しい家族と裕福な家族が出てくる話』とだけ聞いていて、当然ながら私は、裕福な家のパク社長役だと思っていましたが、まさか(貧しい街の)半地下につれていかれるとは」と恨み節。ポン監督が「すいません」と恐縮すると、ソンは「次からは、大雨が降るとか、階段が出るとかいった話には出演したくないです」と続けて、笑いを誘った。
すると、ポン監督も「来年、また新しいシナリオを1つお渡ししようと思っていますが、そのタイトルは『梅雨時の男』です」とお茶目に応戦。ソンが「ありがとうございます。でも、それを受け取ったら、(出演したいという)考え方が変わるかもしれません」と切り返すと、会場は爆笑の渦に包まれた。
「パラサイト 半地下の家族」は12月27日からTOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田にて先行公開。20年1月10日から全国公開。
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