山崎まどか&降矢聡が誘う映画パンフレットの世界! 感傷を呼び起こす魅力とは?
2019年11月14日 14:00

[映画.com ニュース] 書籍「映画の感傷 山崎まどか映画エッセイ集」(DU BOOKS)が発売されたことを記念し11月13日、東京・六本木のTSUTAYA TOKYO ROPPONGIでトークショーが開催された。多くの映画パンフレットに寄稿してきたコラムニストの山崎まどか氏と、日本未公開作品の配給宣伝やパンフレット制作を行う「Gucchi's Free School」の降矢聡氏が、映画パンフレットの楽しみ方を語った。
「映画の感傷 山崎まどか映画エッセイ集」は、パンフレットやファッション雑誌に掲載された記事に書き下ろしを加えた計64本のエッセイを収録。「タイニー・ファニチャー」「フランシス・ハ」「ビフォア・ミッドナイト」「20センチュリー・ウーマン」「アメリカン・スリープオーバー」などの作品が取り上げられているほか、名画座日記、ウィノナ・ライダーやキルスティン・ダンストらをテーマにした女優論、山崎氏による私的な映画賞「女子映画大賞」の結果などもおさめられている。
映画パンフレットでの執筆について、山崎氏は「公式のものを任されたという思いですごく身が引き締まるし、気合いが入る。私は自分のことを評論家や映画専門家とは言えないと思っていて、『映画について書きたい』というよりも、強いて言うなら『映画パンフレットに書きたい』という気持ちが、20代の頃からありました」と、“映画パンフ愛”を炸裂させる。さらに「感情がこみ上げてくる部分の根拠や起点となっている部分に映画の秘密があるので、その秘密を解き明かす文章を書いています」と解説。降矢氏はペドロ・アルモドバル監督作「抱擁のかけら」への寄稿を例に、「山崎さんの文章は、他作品の引用が独特だなと思いました。普通は映画史的にリンクする作品や、監督が言及している作品を引用するんですが……。山崎さんは髪形を起点に、他の作品とのつながりを指摘していて。僕の勝手な“山崎論”ですけど、事実を羅列するのではなく、ご自身の感傷を呼び起こしながら映画をご覧になっている。山崎さんの中での、個人的な感傷が積み重なった体系ができている」と絶賛した。

一方で、山崎氏は映画鑑賞の形態が多様化し、劇場で映画を見る人の減少に伴い、パンフレットを購入する人も減っているという現状を嘆く。「絶滅危惧種というか、なくなる可能性もありますよね。でも、私はパンフ自体に思い入れがあります。映画の記憶はどんどんすり抜けていってしまうけれど、私たちの手もとに残るのはその記憶しかないんです。記憶を喚起するものって、小さいものなんですよ。だから、映画パンフは大切なんです」。この言葉に降矢氏も賛同し、「山崎さんの『映画の感傷』を読んで、ひとつ納得したことがあります。『感傷』という言葉には『なくなってしまうものだから大切にしよう』という意味もあると思います。でもネガティブな意味だけではなく、『そもそも映画は所有できないもので、思い出を喚起した時に(心の中に)現れるもの。だからこそパンフは重要』と書かれていて、勇気をもらえました」と語った。
映画の記憶をよみがえらせてくれるものは、パンフレットだけではない。山崎氏は「Gucchi's Free School」が運営する上映会にも触れ、「劇場で見る意味が問われている中で、イベントなどで『映画を見ている私たちも、今ここにいる』と感じることは大切だと思います。特別な場所、特別な気持ちで見ることは大事で、そういう時に映画がぴかって光るんですよね。映画を見るシチュエーションや心構えで、後に残るものが変わると思います」と述べ、「映画を見ている自分」が記憶に残るような映画体験の重要性を訴えた。

この日は、山崎氏の私物である貴重なパンフレットの数々が紹介された。まずは、蛍光塗料で描かれたスクリームマスクが暗闇で光るという「スクリーム2」。山崎氏は「これも映画の感傷なんですが、ドライブインシアターで見たんです。最高でしょ?」と懐かしそうに眺める。続く「スクリーム」に関しては、「『スクリーム』っていろんな映画のオマージュがあるんですよ。だから、元ネタを解説しながらシナリオを採録するっていう素晴らしい仕事をしてます」(山崎氏)、「これ、どこかでやりたいですよね!」(降矢氏)と大盛り上がり。犯人が分かってしまうシーン以降はシナリオが袋とじになっているという、こだわりの1冊だ。
さらに、性転換した男性のロマンス劇「マイラ」のパンフレットに収録された、映画評論家の淀川長治さんが出演者ラクエル・ウェルチを語った文章を取り上げ、山崎氏は「お手本にしたいです。淀川さんは絶対に映画をほめる方で、ほめるところがなかったら『ソファでも何でもほめろ』とおっしゃっていて。私の中にも淀川イズムが流れていますね」と告白。そのほかシャロン・テート出演作「哀愁の花びら」「ハメルンの笛吹き」など、映画パンフトークに花を咲かせていた。
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