チャン・ツィイー審査委員長、TIFFへ提言「独自の位置づけ獲得して」
2019年11月8日 12:00

[映画.com ニュース] 「選考はとてもチャレンジングなもので、時には審査員の意見をまとめるために熟慮する必要はあったけれど、判断の基準は基本的に一致していた。映画の持つ文化性、芸術性、多様性を感じることができ、ハイレベルな映画を見る機会を与えてもらいました」
第32回東京国際映画祭コンペティション部門の審査委員長を務めた中国の女優チャン・ツィイーは、満足げにこう振り返った。満場一致で東京グランプリに選出したデンマークの「わたしの叔父さん」については、その普遍性を絶賛する。
「人間の情感の描写が穏やかで流れるよう。同じようなことを繰り返していても、表現がすべて違っている。国籍や年齢の違いは関係なく、家族は誰もが持っているもの。その部分を丁寧に描いていて感動的でした」
選考の中で「大胆な選択」と評したのが、最優秀女優賞のナディア・テレスツィエンキービッツ。フランスの「動物だけが知っている」で、登場シーンは少ないものの強烈なインパクトを残した。
「役者の資質、可能性を発掘する精神が大事。新しい人材がエネルギーとなって、世界の監督、脚本家、プロデューサーらに知られていけば映画作りがもっと発展していく。それには貢献できたと自負しているわ」
カンヌ国際映画祭で審査員に選ばれたこともあるが、審査においてはどうしても女優の演技に目が向くという。
「私がやったらどうなるかを考えながら見てしまいますね。加えて、いい映画は中国市場でも見てもらえればいいなと思っています」
かつて、委員長を務めた同じ中国のチェン・カイコー監督やフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督が、コンペのレベルの低さを指摘したことがあった。これには、「すべての作品が素晴らしいとは言えない」と前置きし、「わたしの叔父さん」がデンマーク人である審査員のマイケル・ノアー監督がその存在を知らなかったことを挙げ杞憂だと強調する。
「どんな映画も万人が好きになるものはない。(最優秀芸術貢献賞の)『チャクトゥとサルラ』も中国の小さい作品だけれど、独特の表現やフレームワークで映画的言語があった。そこに存在価値がある。私の心の中で東京は、地位の高い映画祭です」
その上で、今後の映画祭の発展に向けての見解も示した。
「カンヌなどは巨匠のマスターピースが集まるけれど、東京は小さな作品をどれだけ多くの人に見てもらえるかということを推進しているので有意義。芸術性を求めていくことを続けていくべきだと思う。独特の視点を出し、世界の中で独自の位置づけを獲得できればいいのでは」
また、女優生活20周年を記念してデビュー作「初恋のきた道」(1999)が特別上映された。
「私の最も美しい年齢の様子、表情をすべて記録してくれた。あのパフォーマンスは2度とできない。公開当時に見た人も来てくれてうれしかったわ」
この時ばかりは、照れながらも穏やかな笑みを浮かべていた。
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