「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督が緊急来日!日本での撮影構想も明かす
2019年11月8日 13:00
[映画.com ニュース]韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた「パラサイト 半地下の家族」の国内最速試写会が11月7日、都内で行われ、緊急来日したポン・ジュノ監督が舞台挨拶にサプライズ登壇した。
家族全員が失業中のキム一家が、家庭教師など様々な立場としてIT企業の経営者であるパク氏の豪邸に“寄生”するが、そこで思いもよらぬ悲喜劇に巻き込まれる。主演はジュノ監督と4度目のタッグを組んだソン・ガンホ。来年2月に開催される第92回アカデミー賞の国際長編映画賞に韓国代表として出品されている。
映画を見終えたばかりの観客から大歓声を浴び、ステージに登場したポン・ジュノは「こんばんは。ポン・ジュノです。ありがとうございます」と日本語で挨拶。「日本の皆さんは、世界的にも映画を熱心に、深く鑑賞してくださる。ここに集まった方々の情熱に期待しています。恐らく日本が最後の公開国になりますので、いい形で“映画の旅路”を締めくくることができれば。とにかく前情報抜きで、見てください」とアピールした。
登場人物の1人が家庭教師という設定については「学生時代の実体験に基づいている」といい、「非常に裕福な家庭で、家の中にはサウナがあった。意図せず、他人の家庭を覗き見る不思議な感覚が、長年生々しく残っていて、それが映画につながりました」。数学を教えていたそうだが「すぐにクビになりました(笑)」と明かした。
各国の映画祭では、物語の背景にある格差や分断といった社会的メッセージが注目されるというが、当のポン・ジュノは「私自身は純粋に面白い映画を撮りたかっただけ」と断言。「映画に登場するキャラクターは、特段に政治的な意識が高いわけでもないし、富裕層への闘争心もない。英雄でもなければ、悪魔でもなく、適度にいい人、適度に悪い人なんです」と語り、「つまり、私たちの周りにいるリアルな人々。だからこそ、結果的に社会的なメッセージにつながったのかもしれません」と分析した。
アカデミー賞については「投票のプロセスが複雑ですし、期待をしてよいものか」と思わず苦笑い。昨年パルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」を引き合いに、「カンヌからオスカー候補になりましたね。実は同じ道を歩んでほしいという期待が、韓国では巻き起こっていて、それはプレッシャーですね」と本音を明かした。
オムニバス映画「TOKYO!」(08)では、香川照之を主演に迎えて、日本での撮影を敢行しており「実は一昨年前から、日本のとあるプロデューサーと継続的に話し合いを重ね、再び日本で撮影する構想を練っているところ」とうれしい発言。「日本にもすばらしい俳優がたくさんいる。例えば、浅野忠信さんや広瀬すずさん。それに尊敬する樹木希林さんとは、いつかお仕事をしたかった。『母なる証明』を日本でリメイクするなら、母親役は樹木希林さんが良かったと思います」と話していた。
「パラサイト 半地下の家族」は、2020年1月から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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