タランティーノ監督「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」中国公開向け編集は一切なし
2019年10月22日 18:00
[映画.com ニュース] 最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の中国公開が無期延期となったことを受け、対応に注目が集まっていたクエンティン・タランティーノ監督が、検閲を通すために再編集を行うといった措置は断固とらない方向であることがわかった。
落ち目の俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)とスタントマンのクリフ・ブース(ピット)の友情を軸に、1969年のハリウッド黄金期の光と闇を描く本作は、10月25日に中国での封切りが予定されていたが、直前になって同国の検閲当局が公開の無期延期を発表した。
米ハリウッド・レポーターによれば、公開延期の理由について製作・配給元である米ソニー・ピクチャーズには当局から一切説明がなされていないという。だが、最大の原因は、同作におけるブルース・リーの描写ではないかという推測が多くを占めている。
同作には架空のキャラクターに混ざり、ロマン・ポランスキー監督や当時の妻で新進女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)、スティーブ・マックィーンら実在の人物が多数登場するが、中国が世界に誇る国民的俳優で武闘家であるリーもその1人。だが劇中のリーの描写をめぐっては、「嘲笑的で不愉快きわまりない」などと遺族や友人から批判を浴びており、娘のシャノン・リーさんも中国公開に際し、父親が登場するシーンを削除もしくは再編集を求めるよう検閲当局に直訴したと報じられていた。
契約時にファイナルカット権を必須条件とするなど、自身の作品への手直しを極端に嫌うことで知られるタランティーノ監督だが、関係者が明かしたところによれば、今回も「気に入らなければ上映しなくて結構」と妥協を許さない姿勢をみせており、何が問題なのか理由の説明もなく公開延期の決定を下した中国の検閲当局に憤慨している様子だという。
過激な暴力描写から過去作の大半が上映禁止の憂き目にあってきた中国で、タランティーノ監督作として初の拡大公開となるはずだった同作だけに、中国でのヒットで世界累計興行収入4億ドル突破を見込んでいたソニーがどのような対応にでるのか、目を離すことができない。