北大路欣也、高倉健さんに導かれた「八甲田山」は「大きなエポックになった作品」
2019年6月4日 19:43
[映画.com ニュース] 「午前十時の映画祭」で上映される「八甲田山」(1977)4Kデジタルリマスター版の特別上映会が6月4日、東京・TOHOシネマズ新宿で行われ、出演の北大路欣也と大のシネフィルで知られる斎藤工がトークイベントに出席した。
日露戦争を目前にした陸軍で行われた雪中行軍演習の実話がベースの群像劇。実際に雪深い八甲田山でロケが行われ、北大路は「宿の目の前が積雪4メートル。そこから撮影現場まで2時間くらいかかる。想像を絶する世界で、過酷という言葉だけでは言い表せない。仕事の上でも人生においても大きなエポックになった作品です」としみじみ振り返った。
撮影において支えになったのは、主演の故高倉健さんの存在。ロケで使用した雑のうを持参し「健さんは周到に準備をされる方で、これを持っていけ、あれを用意した方がいいと教えていただいた。小さなレスキューシートや凍傷予防に塗るグリセリンなどですね。(健さんが演じた)徳島大尉の存在が、我々若者を引っ張ってくれた」と感謝した。
4K版を改めて見直し「若いでしょ。31歳だからね。あまりに若いので、自分ではないように思った」と苦笑い。そして「自然と向き合うことのすごさ、どうやったら人間が立ち向かっていけるのかという特殊な環境だった。もう一度やれと言われても、絶対にできない」と話した。
すると突然、斎藤の初長編監督作「blank13」を見ていることを明かし「出演者の魅力を120%とらえていらっしゃる。見ている方はたまらない。心のひだが見えて伝わってくるから、生き生きした魅力がある。素晴らしい」と絶賛。さらに、主演映画「麻雀放浪記2020」についても「ビックリするほどの破裂の仕方。よろいを脱いで素っ裸の人間を楽しそうに演じている。役者としてうやましい。圧倒されました」と褒めちぎった。
まさかの礼賛に斎藤は、「光栄すぎて言葉が出ません」と恐縮しきり。「麻雀放浪記2020」に関しては、「『仁義なき戦い』など僕があこがれ影響を受けた昭和の日本映画を宿したいと思いました。昭和の名作への精神的なオマージュを込めて演じました」と説明した。
北大路は、「その時代への愛があることはうれしいね。僕も『仁義なき戦い』を沖縄の小屋(映画館)で見て、すぐに東京に戻り出たいと懇願してOKが出たのが『広島死闘篇』だったんだよ」とえびす顔。斎藤は、「ただの映画少年が欣也さんと出会ったのは、喜ばしい運命だと思い、これからも映画と真剣に向き合っていきたい」と決意を新たにしていた。
「八甲田山」4Kデジタルリマスター版は、「午前十時の映画祭」で6月14日~7月11日に上映される。
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