「アリータ」クリストフ・ワルツが語る“プロの仕事”と役者論「芝居は誰でもできる」
2019年2月27日 15:30
[映画.com ニュース] 木城ゆきと氏原作のSFアクション漫画「銃夢(がんむ)」を実写映画化した「アリータ バトル・エンジェル」(公開中)に出演している、クリストフ・ワルツ。「イングロリアス・バスターズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」でアカデミー賞助演男優賞に2度輝いたワルツに、本作の撮影や作品選びに重視するポイントなどを聞いた。
本作は、“支配する者”と“支配される者”の2つに分断された世界を舞台に、スクラップの山から発見されたサイボーグの少女アリータが、300年前に失われたはずの“最強兵器”として目覚め、彼女を破壊しようとする巨大な黒幕と対決する。「アバター」のジェームズ・キャメロンが製作&脚本、「シン・シティ」のロバート・ロドリゲスが監督を務めた。
ワルツが演じたのは、主人公アリータをがれきの山から見つけ、サイボーグの身体を与える医師イド。アリータの父親代わりとなる役どころだ。
アリータを演じたローサ・サラザールの名前を出すと、「配役は意図的だったと思う」と優しい笑みを見せたワルツ。劇中さながらサラザールの支えになることもあったようで、「僕はローサ(・サラザール)より年上でいろんなことを経験してきたから、役柄と近い部分があるんだ。撮影で大変な状況になったとき、映画と同じように助けることができたので、キャスティングがうまくはまったと思う」と話す。
出演作を選ぶときは「脚本を重要視している」といい、本作についてもそれが当てはまった。「さまざまなストーリーが描かれるところにひかれたんだ。初恋のようなラブストーリーや、親子のような愛もある。アリータが新たな世界を見つけていく面白さも描かれている」。
演じているときには「キャラクターに矛盾を見出そうとしている」と独自の役者論を明かす。「イドもそうだけれど、どんなキャラクターにも多面性があるから、そのキャラクターが面白くなっていくんだ。ただ優れているだけのキャラクターだと退屈だよ。キャラクターに矛盾があることで、それがドラマの真髄になり、ドラマチックにいろんな物語を伝えることができる。主人公と対峙する人物も必要だし、その人が問題を起こすことでストーリーが動いていくように、一人のキャラクターの中でもそういう面が必要になってくると思う」。
頭の回転が早く、特に演技の話になるとどんどん言葉が出てくる。「俳優によっては、演じるときに役を解析してから組み立てて取り組む者もいれば、感情のままに演じる者もいる。自分の感情をどう見せたいかも大事だけれど、僕の場合はまず物語が大事なんだ。伝える物語が巧妙に練られているから、僕一人の感情を注ぐのは違う。物語を正しく理解することが役立つと思っているんだ。物語をすべて理解していれば、演じるなかで感情が湧き出てくる場合や、理にかなっていなくても自然と行動が出てくることもある」。
演技論を語ってくれた後「でも、芝居は誰でもできるんだよ」と付け足した。「日本で行われているような伝統的な芝居は特別だけれど、西洋諸国での芝居は誰でもできるんだ。ただ、一般の人々と私たちプロの仕事としての違いはある。プロの場合は、厳しい状況下でも確実に演じないといけない。常にたくさんの人から観察されて、具体的に指示が細かく決まっているなかでいつも演じているんだ。それでも、演じることは楽しいよ」と持論を述べた。
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