溝口健二、坂元裕二、木皿泉――佐藤秋&山口遥「足りない二人」対話劇の“源”を明かす

2019年2月21日 22:30

5年越しのプレミア上映
5年越しのプレミア上映

[映画.com ニュース] 「親密さ」(濱口竜介監督)の佐藤秋と、「きみはいい子」(呉美保監督)の山口遥が監督&脚本&主演を兼ねた映画「足りない二人」が2月21日、東京・新宿ピカデリーでのプレミア上映を迎えた。上映前には舞台挨拶が行われ、佐藤と山口のほか、ゲストとして伊藤さとり氏(映画パーソナリティ)が登壇した。

北海道の“陸の孤島”を舞台に、佐藤と山口が自らの人生を反映させた痛切なストーリーが展開。新宿ピカデリーでの上映という“夢”を叶えるまでにかかった歳月は約5年――佐藤は場内からの声援を受けて「この場所に立てているのも、今日見に来てくださった方、北海道での苦しい撮影を助けていただいた方、色々な人の支えのおかげだということを実感しています」と感慨深げ。山口もその発言に同調し「『新宿の大きな映画館で上映する』と公言して始めたものの、くじけそうになる瞬間も多々ありました。こうして皆さんに映画を見てもらえる機会ができて本当に嬉しいです」と思いの丈を述べていた。

“出演する機会がなければ、自分たちで映画を作る”という試みを「素晴らしい発想」と絶賛した伊藤氏。「正直に言えば、監督の仕事をされていない方が作る作品だったので、最初はかなりインディーズムービー寄りの内容かなと思っていたんです。でも、冒頭から引きつけられた。演技でもなくリアルでもない絶妙な空気感。この2人だからこそ成し得たもの」「(本作は)ある意味恋愛映画。同じ夢を持つ人たちが恋をすると大体上手くいかない。それを淡々と描きながらも、男心と女心のすれ違いを表現している」と分析。特に印象に残ったのは、共同で漫画作家をしている小山内(佐藤)と楓子(山口)が一緒に入浴しながら仕事の話をするシーンだったようで「日常的でありつつ、恋人同士ではあまりあってはならないこと。リアルで赤裸々で痛々しかった」と語っていた。

「この映画を見ることで背中を押される人がいっぱいいるはず。多くの人に広まってほしい」と改めて称賛した伊藤氏は、「対話劇が面白い作品なんですよ。参考にした作品は?」と質問。「手本にしたのは、溝口健二監督の『残菊物語(1939)』。面白い感じの会話は、テレビドラマの『すいか』(脚本:木皿泉)」と佐藤が答えると、山口が「あとは、リチャード・リンクレイター監督の“ビフォア”シリーズ。それと坂元裕二さんが脚本を書かれた作品が大好きなので、とても影響を受けています」と補足していた。

さらにタイトルにちなみ「日本映画界で役者を続けるというのはなかなか難しいですよね。役者を続ける上で“足りない”ものは?」と問いかけた伊藤氏。「演技、現場だけでなく、人とのやり取りなど、色々な場数が必要だと思っています。今までは選ばれる立場だったのですが、これからは“選ぶ”こともできる俳優として映画に関わっていきたい」(佐藤)、「“足りない”のは、従順さ。そこは自覚しています(笑)。これからも映画を作っていきたいと思っているんですけど、作るだけなら色んな人がやっています。(作品を)お金に変えていくということを意識していきたいです」(山口)というアンサーに納得の表情を浮かべていた。

(映画.com速報)

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