ガス・バン・サント監督、10年ぶりの来日 R・ウィリアムズの情熱がこめられた新作を語る
2019年2月20日 13:00

[映画.com ニュース] 「ミルク」「プロミスト・ランド」で知られるガス・バン・サント監督が「ドント・ウォーリー」を引っさげ約10年ぶりに来日し2月19日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われたティーチインイベントに、エディターの野村訓市氏とともに登壇した。
2014年に死去した俳優ロビン・ウィリアムズさんが構想していた作品を、企画から約20年の時を経て映画化。自動車事故によって車いす生活となり、アルコール依存に苦しみながらも懸命に生き抜いた実在の風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を描く。ホアキン・フェニックスが主人公キャラハンを演じるほか、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラックが共演する。
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」「ミルク」で米アカデミー賞の作品賞にノミネートされ、「エレファント」でカンヌ国際映画祭のパルムドールと監督賞に輝いたバン・サント監督。新作「ドント・ウォーリー」の舞台は、キャラハンが事故に遭ったカリフォルニア州ロング・ビーチ、リハビリセンターがあるダウニー、住居があったオレゴン州ポートランドだが、実際の撮影はロサンゼルスで行ったという。バン・サント監督は「僕がロサンゼルスに引っ越したから、そこで撮影しました。ポートランドは捨てました」と茶目っ気たっぷりにほほ笑む。野村氏は「ガスと言えば、ポートランドのアンバサダーみたいな存在だったのに……」と嘆くと、「長年の友人でもあるミランダ・ジュライ監督が、ポートランドが舞台の映画をロサンゼルスで撮影して、インスパイアされたんだ」と明かしていた。
激動の人生を歩んだキャラハンに対し、バン・サント監督は「私がポートランドで映画を作り始めた頃に、彼がローカルな著名人として知られ始めるようになった。彼の漫画はとても毒があって、いろんな人の気分を害して問題になった部分もあったけれど、彼はそれを喜んでいたんです」と語る。さらに、「『グッド・ウィル・ハンティング』の撮影後に、ロビンがキャラハンの自伝の映画化権を買って、僕に相談してきました。ロビンが演じるならうまくいくかなと思ったので脚本を2本書いたんだけど、映画化されなかった」といい、「なかなか映画化に至らなかったので、キャラハンから『一体どうしたの? 完成する頃には俺たち死んじゃうよ』と言われました。そうしたら10年にキャラハン、14年にロビンが亡くなって……彼の言う通りだったな」と心情を吐露した。
しかし映画化への情熱は冷めることなく、バン・サント監督はウィリアムズさんを想定していた当初の脚本のリライトを実施。「最初の2本はキャラハンと母親をめぐる悲劇の要素が大きかったけれど、アルコール依存症や『禁酒会』にフォーカスして書き直しました」と振り返る。また、新たにキャラハンを体現することになったフェニックスを、「彼は自分を徹底的に役に入れこんでくれるので、私としても素晴らしい経験になりました」と絶賛した。
「ドント・ウォーリー」は、5月3日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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