エレファント

劇場公開日:2004年3月27日

解説・あらすじ

99年のコロンバイン高校での銃乱射事件を、初期には「ドラッグストア・カウボーイ」や「マイ・プライベート・アイダホ」を撮っていた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・バン・サント監督が描く。撮影は「裏切り者」「ゲーム」のハリス・サヴィデス。生徒役の出演者はみな俳優ではなく実際の高校生で、セリフは彼らが即興で話すという演出。03年のカンヌ映画祭でパルムドールと監督賞を史上初のダブル受賞。

2003年製作/81分/アメリカ
原題または英題:Elephant
配給:東京テアトル、エレファント・ピクチャー
劇場公開日:2004年3月27日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第56回 カンヌ国際映画祭(2003年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール ガス・バン・サント
監督賞 ガス・バン・サント

出品

コンペティション部門
出品作品 ガス・バン・サント
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写真:Album/アフロ

映画レビュー

4.0淡々とした描写が、むしろ「食らい」そうな一作

2025年5月23日
PCから投稿

1999年に米国コロラド州コロンバイン高校で起きた、同校生徒による銃乱射事件は、米国内外に大きな衝撃をもたらしました。この事件を題材にした映画はこれまでに、マイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2003)などいくつも登場しており、本作もその一つに当たります。

本作はドキュメンタリー作品ではなく、実際の事件に基づいた創作、ではあるのですが、ガス・ヴァン・サント監督は様々な試みを取り入れることで、事実と創作、そして当事者と非当事者の境界線をあいまいにしています。

たとえば、演技経験のない高校生たちを配役して、思いのままに台詞を喋らせるという作劇手法もその一つです。出演者達は、全くの架空の人物ではなく、自分たちがこの作品世界の当事者であり、言葉を紡ぐことで場に意味を与える役割を担います。もちろん大多数はプロの俳優が学ぶ「メソッド演技」の訓練も受けていないでしょう。

即興劇とも当事者作品ともつかないこの斬新な手法が、出演者に過度の精神的負担を与えなかったか、特に暴力を含めた演技をさせたことに問題はなかったのか、といった議論の余地はあったものの、本作はカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するなど高い評価を受けました。

こうした経緯を知らなくとも、ごく普通の日常生活を送る高校生たちが、実は「あの時」に向かって時を刻んでいる、ということを観客は知っているため、最終盤近くまで淡々とした描写が続くにもかかわらず、異様な緊張感が続きます。このあたりは、山本直樹著『レッド』も連想しました。

上記の制作背景を知るとさらに個々の登場人物への感情移入の度合いが高まるので、観客によっては直接的な暴力を見せられるよりも「食らう」かも。

なお本作の特徴的な作劇は、サント監督がこれまで描いてきた人間観、死生観を色濃く反映しているものの、全くの独創ではなく、同名のイギリスのドラマの影響を受けているとのこと。この不可解な題名の由来についてはいろいろな情報があるみたいだけど、原案の題名をそのまま使っているとなると、これは元のドラマに対する作り手の誠意…と見ていいのかな?

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yui

3.5運命を感じる稀有な映画

2025年5月4日
iPhoneアプリから投稿

『進撃』のエレンのように、少年少女たちの他愛ない日常が営まれている場を沈黙で満たしたかったのだろう。その景色がひと目見たかったからクエスト気分で殺した。校舎外に人間は存在しないかのように、中にいた生徒達だけを。個々に対する憎しみはなく空間そのものを憎悪した。そこにたまたま人がいただけだ。

日本の校舎のように真っ直ぐな廊下に教室が接続している形式ではなく、広い平面でいろんな活動が行われている回遊式の校舎が方向感覚を狂わせる。さながら迷宮のようだ。平面図を用意するのも無理はない。カメラの独特な動きもそれを助長し、『バイオハザード』感というか狩りの場としての禍々しさが募っていく。

ジョンがケツを叩くおバカシーンが3回登場するが、それがひとつの結節点として異なった視点からプレイバック、オーバーラップされ、不意に実行犯の周到な準備も重なって垣間見える。ただし、別アングルから重曹的に物語るという形式ではない。

結局、最後の虐殺へ向けて、カメラが生徒を執拗に背後から追ったり、群れて中身が空っぽそうな生徒達を映していく。まるで、この運命以外あり得なかったかのように。

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ジャパニーズ先住民

4.0シームレス

2025年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

リアルとヴァーチャル、日常と非日常がシームレスであることが、シームレスな映像によって表現される。高校ってしんどかったな。みんな大人で子どもなんだもの。

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ouosou

1.5あらすじ通り。

2025年1月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

撮り方や表現にこだわり過ぎたのか、事件が始まるまでいろいろなシーンがクロスしていく様な撮り方をしたかったのはわかるが、本当にあらすじ通りいきなり事件が起きてしかも中途半端で終わり事件の結末等にも触れずだったので自己満足を観せられた気分。
結構期待して観ただけに残念だった。

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