「旅のおわり世界のはじまり」加瀬亮がウズベキスタンで語った作品とキャリア

2019年1月31日 07:00

今作でカメラマンを演じる加瀬亮
今作でカメラマンを演じる加瀬亮

[映画.com ニュース]黒沢清監督が前田敦子を主演に迎えた最新作「旅のおわり世界のはじまり」。加瀬亮が、前田扮するテレビレポーター・葉子が出演するバラエティ番組のカメラマン岩尾を演じる。国際派俳優として海外の作品にも多数参加している加瀬が、ウズベキスタンでの撮影を語った。

黒沢監督のオリジナル脚本で、言葉も通じない未知の国に飛び込んだひとりの女性の成長を描く旅の物語。共演はディレクター役の染谷将太、AD役の柄本時生ら。

国内の商業映画から海外のアートフィルムまで、その稀有な存在感で国内外の様々なフィールドで活躍する加瀬。黒沢監督作品には今回5度目の参加となる。

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「基本的に黒沢監督から仕事を頼まれたら、脚本を読んで自分が自信がないと思わない限りは参加したいです」と今回のオファーを引き受けた。「ウズベキスタンは、今まで行くことを考えたことがない国だったので、こういう機会は面白そうだなと思っていましたし、今回の脚本が、黒沢監督の本なのかな? と思うくらい意表を突かれたのも、理由のひとつです。以前監督に『ワケがわからない役は加瀬君と決めています』と言われたことを覚えていますが、今回はかなりまともな人だったのでびっくりしました。黒沢監督は硬派で男らしい印象があります。現場では紳士な感じなんですけど、センスがユニークなんです」

黒沢監督にとっては「Seventh Code」「ダゲレオタイプの女」に続き3作目の海外ロケ作品。今作でもいかにも観光地的な場所ではなく、路地や廃墟風の建物など、ロケハンにこだわった。加瀬も土地の持つ力強さを感じている。「ウズベキスタンの風景は、まず日本では見かけない景色。映画の要素として“珍しい”って大事だと思うんです。例えばいい映画でいいシーンでも、知った景色だとちょっと醒める。海外の映画がより楽しめる部分として、遠い場所だから夢を見やすいとっていうことがあると思うんです。そういう意味では今回、見たことのない風景の中にみんなが佇んでいるスチール写真やポスターを見て、これ、何の映画だろう? って。そのわからなさに自分はすごくワクワクしますね」

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現地では携帯電話をなくすというハプニングもあったそう。しかし、その出来事が日本とは違った時間をもたらした。「警察が捜してくれて、見つかりましたが、一度誰かの手に渡ったらしくデータは消されていました。Wi-Fi環境もあまり良くなかったので、携帯を触らなくなって。そうすると時間が戻ってくるんです。普段携帯を触っていた時間が、ベランダでコーヒーを飲む時間に変わって、空ばかり見ていました。(柄本)時生からは、『そろそろ雨が降るのがわかるんじゃないですか?』なんて言われていました。時間があるときは、ほっつき歩いたりしていて、そういうことが大事だなと感じました。ロケバスでいちばん前に座っていて、ぱっと後ろを振り向いたら、全員携帯を触っていたんです。僕は窓の景色を見ていましたが、本当はみんなでその景色を共有できたらいいなと思ったり。黒沢監督に携帯をなくした話をしたら、いいことじゃないですかと(笑)。とにかく海外では自然と共演者たちともいろんな話ができて楽しかったです」

ヒロインの葉子は自分の仕事や将来に不安を感じており、加瀬が演じる岩尾もドキュメンタリー志望だったものの、バラエティにまわされ悩んだ経験があるという役どころだ。加瀬自身も「未だに迷いっぱなしです」と明かす。「僕の場合大学を中退して、役者をやってみようと思ったので、卒業するという道もあったのですが、卒業すると、自分の中の保険になってしまう気がして。大学を辞めていなかったらある時期でくじけていたような気がします。周りから役者になんかなれるわけがないと言われましたし、食べられるようになるまでは何年もかかりましたので。不安になることも多々ありましたけど、引き返せない、やるしかないっていうことが、その時期の自分を支えてくれたような気がします」

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「最初に舞台を経験したときも、『才能ない、やめたほうがいい』と言われて。初めて演じてそう言われ、ショックで1カ月くらい引きこもりました。その時にすごく考えたのが、本当にやりたいかどうか、好きかどうか。その結論が好きだったので、誰かに言われたからやめるというのもなんか違うな、と思ったんです」と吐露。そんな時期を経て、映画、ドラマと幅広く柔軟に活躍し、今や日本を代表する俳優のひとりだ。俳優という職業の捉え方も変化した。

「僕もなにもマニュアルを持っていないので、いつも台本を読んで、どうしたらいいのだろうと考えます。役者を始めたころは、やればやるほど、どんどん明確になっていくのかと思っていましたが、ますます逆になっていきました。そういうキリのなさみたいなところは面白いですね。台本を読んでいる時は頭で考えていますが、本番中はあまり考えていません。感覚に従ってやるのがいいのか、すごく冷静にやるのがいいのか、そのバランスなんかも未だに答えは出ていないですね」

日本から遠く離れたウズベキスタンならではの経験をし、俳優人生を振り返った加瀬。その豊かな時間は今作でどのようにスクリーンに投影されるのだろう。「旅のおわり世界のはじまり」は、2019年初夏公開。

(映画.com速報)

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