「第三世代」が劇場初公開、ファスビンダーのインタビューを入手
2018年10月26日 08:00

[映画.com ニュース]ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才、ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督の劇場未公開の2作品「13回の新月のある年に」(1978)、「第三世代」(79)が、10月27日からユーロスペースで公開される。このほど、意志と表象としての世界のテロリストたちを描いた「第三世代」発表当時に、ファスビンダー監督が作品を語ったインタビューを映画.comが入手した。
「この新作はとても単純だ。というのはこれが一つのテーマ、一つの問いかけ、一つの想像力の出発点を持つからだ。つまりテロリズムが結局のところ資本をよりよく保護するために資本が生みだしたアイデアだということだ。このアイデアはとても複雑なので、ともかくこの映画をシンプルに作ろうと心掛けた。映画の基本アイデアをできるだけ多彩にし、できるだけ派手に物語ることで、観客もこのアイデアを自分で受けとめられるようにした」
「彼らはただ爆弾を投げる。何の理由も動機も絶望も理想もない者たちは、他人の思うままに利用されてしまう。だからコンピューターをより売れるようにするためにテロリストグループを動かした企業家が背景に存在するかどうかについては実はどうでもいいことだ。それは北アイルランドに反乱者がいるお蔭で英国はいつでも都合よく介入できると言えば十分だろう。構造は同じだ」
「ドイツのモデルは与えられた民主主義だが、それを擁護するためにはその価値を批判してはいけないというのは一体どういうことだろう?民主的であるということは、生きている中で絶えず問いを投げかけ批判できることじゃないだろうか。だがいつの間にか民主主義は独裁的に進められるようになってしまった。どんな独裁国家にも負けないくらいに。だからドイツというモデルが西洋世界に属するものとは到底言えないんじゃないか」
「近年見た中で、希望とユートピアを内に秘めた作品があった。一つは『惑星ソラリス』(タルコフスキー)だ。そして『たぶん悪魔が』(ブレッソン)、そしてツァデク演出による近年の舞台『オセロ』と『冬物語』、そしてモーリス・ピアラの『私たちは一緒に年をとることはない』という題名の映画。それからビスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』は30回観た。『たぶん悪魔が』は明らかに年を取った男の作った作品だが、この映画がものすごく若々しいことは議論の余地がない。そしてこの映画は自殺の美化または自殺の容認なのか、または僕が考えるようにその逆なのか、つまりブレッソンはこう言った、『死を受け入れることで、自分の生を生きるチャンスがより多く生まれる』と」
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