地獄に堕ちた勇者ども
劇場公開日 1970年4月11日
解説
ルキノ・ビスコンティ、ドイツ3部作の第1作。鉄鋼会社を手中に収めようと、血で血を洗う一族の争いと、ナチスを背景にした権力闘争が複雑に絡み合う。1933年、ドイツで鉄鋼会社を経営する男爵の誕生日パーティが開かれる。宴の後、男爵が死体で発見され、一族の1人が逃亡。経営者の死後、孫のマルティンに株が譲渡されるが、実権を握ったのは母親とその愛人だった。ヘルムート・バーガー演じるマルティンの倒錯的なキャラクターが、一族の悲壮感をあおる。
1969年製作/155分/イタリア・スイス・西ドイツ合作
原題:La caduta degli dei
スタッフ・キャスト
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2022年3月30日
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鑑賞方法:DVD/BD
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歴史に翻弄される財閥一族の権力闘争。
ヒトラーも財閥支配を狙う者も、非情で卑怯だった。そこに加担しているのがヘルムート・ニュートン演じる主人公の母親。そして、この母子関係にも問題があり、母親に息子が復讐するのだが、これがまたエグかった…。けれど復讐を果たした息子もその性志向性により、おそらく将来はないよね…みたいな感じで終わる。
コッポラ監督のお眼鏡にかなったドイツイケメンが多く登場するので、誰が誰だか、途中で混同。良い子のギュンター役の方も美形だわ〜と思って調べたら、当時日本の若い女性に「欧州三大貴公子」とアイドル的人気を誇ったと出てきて納得。
悪女のゾフィー役のスウェーデン女優さんも美しかったけれど、善女役のシャーロット・ランプリングさん初めてちゃんと見た。ほっそりした、絵画から飛び出してきたようなゲルマン美人だった。
そして重厚で豪華なセットと衣裳。やっぱりものすごくお金がかかってそうで見応えがあった。
2021年7月21日
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平穏な時代には一族の中で〈出来損ない〉と見られていたマルティン(バーガー)は
ナチスの台頭に呼応して蠢きだす
ラストでは〈男の中の男〉になったと確信する展開に
そして若く、繊細で、まともな神経を持っていた
ギュンターをアッシェンバッハと二人でナチズムの中に引きずり込んでゆく
ドイツの鉄鋼一族クルップをモデルに
シェイクスピア、ドストエフスキー、トーマス・マン等で脚色しながら
当時の事件も上手く盛り込んでいる
ひと癖もふた癖もある俳優の勢揃いだった
ここでは(役柄もあるが)後年、背徳の香りを漂わせる
ランプリングも 若く、清純派で悲劇的
マルティンと同様に妖しい輝きを放つバーガー
その腹からマルティンとナチスを産み出した
腐ったヨーロッパの資産家を代表するような
男爵夫人を演ずるチューリンが強く印象に残った
ファシストを利用するつもりが
反対に崩壊してゆく鉄鋼一族は
ドイツ軍需産業の終わりも暗示しているのか
一族の騒動を尻目に(たきつけておきながら)
のんびり葡萄を食べてる
アッシェンバッハ(グリーム)は
アダムとイヴを誘惑した蛇のようでもあり
国や産業の発展でも崩壊でも利得する勢力のようにも思える
一族に投入されたフリードリッヒ(ボガード)は手駒のように使われてしまいますね
ビスコンティは色々気がついちゃったんでしょうねぇ
2020年6月19日
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鑑賞方法:DVD/BD
50年程前の映画だが、古臭さを感じさせない。
ビスコンティの作り上げる映像美に釘付けに
なった。
若き日のヘルムート・バーガーの狂気じみた
演技も素晴らしい。ダーク・ボガートが本作で
霞んで見えたほど。
作品を観ながら心に
「驕れる者は久しからず。すべては春の夜の
夢のごとし」 平家物語の言葉が思い浮かんだ。
名作だけど毒気も強い映画なので、メンタルが
弱っている時にはお薦めしませんが。
2018年6月25日
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