中島貞夫監督の20年ぶり新作「多十郎殉愛記」 主演・高良健吾、監督がヨーダに見えた
2018年8月22日 23:24

[映画.com ニュース]「木枯し紋次郎」「新・極道の妻たち」で知られる84歳の巨匠、中島貞夫監督の20年ぶりとなる長編劇映画「多十郎殉愛記」(2019年春公開)の製作会見が8月21日、東京都港区海岸のインターコンチネンタル東京ベイで行われ、主演の高良健吾、共演の多部未華子、木村了、中島監督らが出席した。
幕末の京都を舞台に、親の借金から逃れるように長州を脱藩した浪人の清川多十郎、店の用心棒である多十郎に好意を寄せる居酒屋のおとよ(多部)、多十郎を頼って上洛してきた腹違いの弟・数馬(木村)の物語。「殺陣の魅力を存分に見てもらうこと」をコンセプトに、生身の人間が見せる極限のパフォーマンスや1本の刀に込めた「男の情念」「殉愛」を描く。中島監督の教え子で、「私の男」でモスクワ国際映画祭最優秀作品賞を受賞した熊切和嘉監督が監督補佐を務めた。
「極道の妻たち 決着(けじめ)」(1998年)以来、20年ぶりの劇映画となる中島監督は「けじめだと思って、題名をつけた。大阪芸大で若い人に教えているうちに、機会があれば、劇映画を撮りたいと思っていた。自分は京都で修行し、京都を舞台にした作品も多く、ちゃんばらにこだわりがある。ちゃんばらはマキノ省三さんが相当な苦労をしながらも、芸術として確立したもの。それが消えようとしている。ドキュメンタリーで『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』(2016年)という作品を作ったが、ドラマとして実現したかった」と話した。
若いキャスト陣とは初対面だったそうだが、3週間、徹底的に殺陣を鍛えて、期待に応えてくれたという。「斬る、斬られるの間合いが難しいが、いい動きをしてくれた。脚本の理解が深く、非常に満足しております。高良ちゃんも頑張ってくれた」と褒めた。
高良は「中島監督からは立ち姿で教えてもらったこともあります。殺陣というのは思いやりと信頼。相手を怪我させてはいけない、自分が怪我をしてはいけない。人への向き合い方からもたくさん学びことがありました」。多部も「監督が好きだから頑張るという気持ちが強くなっていきました。現場にいられて、幸せでした。これは恋だと思います」。木村は「文献を読み漁って、心構えを勉強しました。監督からは『細かいことは気にしなくてもいい。人の心は普遍。広い世界を夢見ている青年なので、その気持ちで演じてほしい』と言われました。楽屋から出たくないくらい緊張の毎日でしたが、撮影が進むにつれ、心を奪われ、最後は帰りたくなかった」と振り返った。
高良には、時に、中島監督が「スター・ウォーズ」シリーズのヨーダのように見えたそうで、「時に、(中島監督の愛用の)杖が刀になるんです。たまにライトセーバーに見えることもある。84歳とは思えないくらい元気で、殺陣を教えていただきました。斬ることも斬られることも稽古しましたが、斬られるのは難しい。斬られ役がいて、できることなんだな、と学びました。撮影が終わって、多十郎ロスになってしまった」と話した。
中島監督は最後に、「時代劇がつまらなくなったのは、俳優が年寄りになってしまったから。今回は若い。若さが発散しないと面白い時代劇は作れない。(殺陣は)生きるか死ぬか。そこにドラマや愛がある。そこを押さえていくドラマ作りをした。若い人に時代劇の面白さを知ってほしい」と力を込めた。
「多十郎殉愛記」は10月11日から開かれる「第5回京都国際映画祭2018」で、ワールドプレミア上映され、来春公開される。
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