オスカー受賞「ファントム・スレッド」、直筆衣装スケッチ画像一挙公開!
2018年4月25日 17:15
[映画.com ニュース] 第90回アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞した「ファントム・スレッド」の衣装スケッチ画像全6点が、公開された。「アーティスト」「世界にひとつのプレイブック」「キャプテン・フィリップス」などオスカー関連作に数多く携わってきた衣装デザイナー、マーク・ブリッジスによる直筆となる。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督とオスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスが再タッグを組んだ異色のラブストーリー。舞台は1950年代のロンドン。オートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコック(ルイス)と、ウッドコックのミューズとなった若きウェイトレス、アルマ(ビッキー・クリープス)の危うくも美しい恋の駆け引きを描く。
公開された画像では、エレガントなレイノルズのスーツ、レイノルズに出会ったことで田舎のウェイトレスから鮮やかに変身を遂げていくアルマのドレスなどが、美しく描かれている。細かな布の指定など、ブリッジスのこだわりと手腕が感じられる
ブリッジス率いる衣装チームは、1950年代のデザイン全般を研究し、50点もの衣装を作り上げた。「ヴォーグ」「ハーパーズ バザー」などのファッション誌や、当時のイギリスのニュース映像、世界中から取り寄せたビンテージの洋服などを研究し、本作の“顔”でもある洗練された衣装を生み出したブリッジスは、「僕は撮影の1年前ぐらいから関わり始めて、そのときにもう脚本は出来上がっていたんだ」と振り返る。
「監督が家に呼んでくれて、(ファッションデザイナーのクリストバル・)バレンシアガの伝記を読ませてくれたり、彼がそれまでリサーチしていたものを教えてくれた。そのあとニューヨークに行き、ダニエル・デイ=ルイスと2日間ミーティングを行い、彼の意見を取り入れながらドレスの方向性を決めたんだ。そのあとロンドンへ行き、ダニエルのスーツや生地を選んだり、ビッキー・クリープスと会って準備を進めたよ。(製作には)全体で14カ月くらいかかったね」。
劇中で使用された衣装は、「すべてアンティークや当時実際に使われていた生地でゼロから作っていった」といい、「色もそうだけれど、スーツのウールの感じとか、その当時の生地だからこそ作ることのできる形、体にどうフィットするのか、どのような光沢が出るのか……新しい生地では決して、当時の生地のような雰囲気を表現することができないんだ。17世紀のレースなど、アンティークのものを使っている。ビンテージものはぎりぎりの量の布しかなくて、作ることができたのは本当にラッキーだったよ」と工夫に工夫を重ねて製作したと語る。
それだけ苦心した衣装だが、本人はあくまで「この美しい物語を、多くの方に楽しんでいただけるとうれしい」とメッセージを送る。「キャラクターに起きていることや物語を、客席に座って受け入れてもらえるとうれしいな。服はストーリーの一部であるべきだと思っているから、そこばかりを意識せず見てほしい」と職人気質をのぞかせつつ語った。
「ファントム・スレッド」は、5月26日から全国公開。