映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

大森南朋×鈴木浩介×桐谷健太、凍てつく深谷の地で発した役者としての衝動

2017年12月10日 11:30

リンクをコピーしました。
入江悠監督作「ビジランテ」の撮影を述懐
入江悠監督作「ビジランテ」の撮影を述懐

[映画.com ニュース] 凍てつく空気を可視化したような夜、必死の形相で川を行く3兄弟、彼らをひとり、またひとりと自らの監視下へと引き戻していく粗暴な父――ファーストショットからただならぬ予感に満ちた入江悠監督最新作「ビジランテ」。トリプル主演として撮影に参加した大森南朋鈴木浩介桐谷健太は、役を演じるという行為を投げ捨て、運命の悪循環によって破滅していく3兄弟を生き抜いていた。(取材・文/編集部、写真/堀弥生)

本作は、入江監督の地元である埼玉・深谷を舞台に紡ぐオリジナル作品。高校時代に失踪した長男・一郎(大森)、市議会議員で町の自警団団長でもある次男・二郎(鈴木)、デリヘル業雇われ店長の三男・三郎(桐谷)という神藤家の3兄弟が、憎んでいた父・武雄(菅田俊)の死をきっかけに再会する姿を通じ、地方都市の暗部を浮き彫りにする。

連続ドラマW「ふたがしら2」を経て、再び入江組に身を投じた大森。正式なオファーを受ける前に本作の概要を聞いていたようだが、「最初に脚本を読んだ時に感じた印象は凶暴。ただ『これはどういうことなんだろう』と疑念を感じることもあった」という。「入江監督にとっては久々のオリジナル映画。まずはその作品に臨む気合に乗ったという部分はありました」と続けて、「深谷の地に3人で立った時の空気感が作用して映画が美しくなるという点は、監督は恐らくわかっていたのかもしれない」と完成した作品を目の当たりにし、当初の疑いが晴れたことを明かした。

鈴木にとって映画の現場は「ライアーゲーム 再生(リボーン)」以来のこと。「非常に重いし、後味の良い作品ではない。どういうテイストで臨めばいいのか…一言で言えば緊張していましたね。『僕でいいんですか?』と感じていて」と戸惑いを隠せなかったようだ。大森と共鳴するように、桐谷も「僕も脚本を読んで『わからない』というのが正直な感想だった。三郎という男がどんな人物なのか、どれだけ考えてもわからなくて」と話していたが、クランクイン間近、曇天模様の思考に光が差し込んだ。

桐谷「三郎の靴を履き、衣装をまとい、深谷の冷たい風を浴びた瞬間、何かがつかめたんです。一番最初に撮影する場所へたどり着くまでに触れた深谷の地が悲しく見えた。普段だったら冬のこういう場所って、センチメンタルで好きなんですけどね。(撮影現場に降り立った瞬間)三郎の歩き方、喋り方がわかったというか。それに入江監督とは同い年なんです。あまり役について聞くタイプではないですけど、今回は色々話せたことも大きいと思う」

本作の核となるのは、大森らが現場で発した衝動だろう。鈴木は、二郎が助けを求めてきた三郎を突き放すシーンを例に出し「決断を放棄して生きてきた男が、初めて選択をする。プランは何も練っていませんでした。まずは三郎を抱きしめ、目を見て話し、そこから感じたものを内から出した。行動の流れは台本に書かれていますが、その手前のエネルギーは、三郎からもらったもの」と振り返る。その言葉を受けて桐谷は「台本を読んだうえで『こう動く』と考える映画じゃなかった。その場に立って、南朋さんや浩介君を目の前にして、ようやく行動に移すというのが正しかった。演技が被さろうが、その瞬間に出たもので勝負ができたんです。本当にありがたい環境だった」と付け加えていた。

その衝動によるアクションを、さらに鋭敏化させたのは、底冷えする極寒の冬季という環境だ。「とにかく過酷」「雪国より寒い感じがあった」と口々に語ると、鈴木は大森の肌に触れるという演出について「触れると超冷たいんですよ。触ったら本当に殴られるんじゃないかって緊張感があった。あの環境だからこそ出てきた感覚です」と告白。成長した三兄弟が“原点”に立ち返り、川の中で大喧嘩を繰り広げるシーンは、言わずもがな一発撮りだったようで「体が動かなかった。冷たいというよりも痛い。自分の吐息が閉じて聞こえてくる感じでしたね」(桐谷)と述懐していた。

役を演じるという虚構を奪い去っていった極限の環境。「良いんです。それも含めて、この映画なんです。監督の意図でもあったのかなとも思いました」と大森が言葉を紡ぐと、桐谷は「(登場人物は)ある種、何かを封じ込めて生きてきた人たち。寒かろうが芝居に臨む役者とリンクする部分もあるのかもしれない。あの時期に撮って正解だったと思う」と同調する。捨て身で臨んだキャスト陣に支えられて完成した「ビジランテ」は、劇中の凍てつく寒さと相反するように、入江監督の熱き魂が燃え盛る渾身の1作となった。

大森南朋 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

凶悪

凶悪 NEW

死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る