國村隼、映画人としての矜持のぞかせる「言葉も国もカルチャーも弊害にはならない」
2017年10月19日 18:00
[映画.com ニュース] ベルギー、フランス、カナダの3カ国合作映画「KOKORO」の会見が10月19日、ベルギー大使館で行われ、メガホンをとったバンニャ・ダルカンタラ監督、出演の國村隼、ギュンテル・スレーワーゲン駐日ベルギー王国大使が出席した。
「奇跡のひと マリーとマルグリット」の仏女優イザベル・カレが主演を務め、國村、安藤政信、門脇麦ら日本の実力派俳優が共演した本作は、心に深い傷を負った人間が再生していくさまを描いた人間ドラマ。ベルギー出身のダルカンタラ監督は、本作の舞台となった日本での会見に対し「本作品がようやく“帰還”しました。ホームタウンの日本に戻ってきました。これは何よりも望んでいたこと」と喜びを語る。
國村の魅力を問われたダルカンタラ監督は、「日本の名優のひとりであり、国内外の監督が國村さんの演技に魅了されている。私もそのひとりです」と言い、「シリアスな演技をなさると恐怖に似たものを感じる。同時に、笑顔の時には子供のような表情をなさる。そのギャップが大好き」とニッコリ。「初めてお会いした時、お互いの間に流れる“大事な雰囲気”を感じました」と振り返り、「主演のイザベル・カレさんに会って、そして國村さんに会って『この2人なら大丈夫。絶対にうまくいく』という確信を持てました」と深い信頼を寄せた。
これを受け、國村も「ファーストコンタクトで『この人とは一緒にものが作れる』と直感した」と同調。ダルカンタラ監督が「たくさんのセリフを盛り込むのではなく、イメージを大切にしている。表情や背景を使って、どう表現できるか」と話した際にも、「思いを抱くことが多々あった。映像で物語を伝える、セリフを少なくしてもいいのではないかと。そう思っていたので、現場で(監督と)ぴったり合っていました」とうなずいていた。
国内外の注目を集めた韓国映画「哭声 コクソン」など、海外作品でも存在感を発揮している國村。「本作に出演した際、他の海外映画との違いを感じる場面はあったか?」と聞かれると、「国が違えば何が違うということはない。映画を作りにおいては、人種の違いは、あまり壁にならない。では何が違うかというと、監督それぞれの個性」と告白。「言葉も国もカルチャーも大きな弊害にはならないと思っています。映画人という人種があるというのかはわかりませんが、(各国の映画人には)ほとんど変わりがない。地球の端っこからでも『一緒に作ろう』と言ってくれる人がいたら、いつでも一緒に映画を作りたい」とほほ笑んだ。
「KOKORO」は、11月4日から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。