文豪・谷崎潤一郎作品原案の映画3本が18年に公開 キャストに渋川清彦、戸次重幸ら
2017年9月26日 15:15
[映画.com ニュース] 近代日本文学を代表する文豪・谷崎潤一郎の短編小説を基に、気鋭の監督3人が実写化に挑んだ映画「神と人との間」「富美子の足」「悪魔」が、2018年に劇場公開されることがわかった。各作品のキャストには渋川清彦、戸次重幸、内田慈、片山萌美、淵上泰史、でんでん、吉村界人、大野いとら、個性豊かな面々が名を連ねている。
「痴人の愛」「細雪」「春琴抄」などで知られる谷崎の短編小説のなかから、年齢もキャリアも異なる3人の映画監督が「これぞ」という作品を選び映画化。人間の業ともいえるマゾヒズムやフェティシズムを凝縮した物語を原案に、現代劇としてよみがえらせている。
「グレイトフルデッド」「下衆の愛」などが国内外で高く評価された内田英治監督は、「神と人との間」の演出を担当。「下衆の愛」「お盆の弟」の渋川と演劇ユニット「TEAM NACS」の戸次がダブル主演、内田慈が共演し、いわゆる“細君譲渡事件”をモチーフに描く。内田監督は「(谷崎の)親友である作家・佐藤春夫と、谷崎の妻・千代を巻き込んだ大正の一大スキャンダル『細君譲渡事件』をいつか描きたいと思っていました。この最低で、しかし人間味溢れる三角関係をベースにした小説が『神と人との間』です。マゾヒスト的な、一方ではサディスト的なぐだぐだな恋愛。しかしそれもまた愛の形であり、谷崎にしか描けない世界観なのです」とコメントを寄せた。
さらに「桜ノ雨」のウエダアツシ監督は、「富美子の足」を手がける。「冷たい熱帯魚」での怪演で国内映画賞を席巻したでんでんが“富美子の足”に強い執着を持つ男を演じ、グラビアでも注目を集める女優・片山、色気あふれるたたずまいが人気を博す淵上が参加。ウエダ監督は「(物語は)偏愛される足を持つ女と、足を偏愛する男たちの姿を描いた……要するに足フェチのお話です」と説明し、「片山さん、淵上さん、そして、でんでんさん。素晴らしく個性豊かな面々と、足と向き合い、足を舐め、足に踏まれる日々を過ごしました。正直に欲望へと突き進む、狂おしくも愛おしい人間たちの姿をぜひスクリーンでご覧ください」と呼びかけている。
メジャー映画からインディーズ映画、そしてテレビドラマなど幅広く活躍する藤井道人監督は「悪魔」を製作。次世代の日本映画界を背負って立つと言われる吉村と、「高校デビュー」「兄に愛されすぎて困ってます」の大野が共演する。藤井監督は「谷崎潤一郎の『悪魔』を初めて読んだとき、100年以上前に書かれた作品にも関わらず、今の現代社会における人間の心の暗部に置き換えることが出来る普遍性に感嘆しました」と振り返り、「主人公の青年は、若くて美しい女子高生の照子という『悪魔』に出会い、次第に自我が崩壊していきます。そもそも『悪魔』とは、自分に外的危害を加える存在なのか。もしくは、自分自身の精神に巣食う存在なのか? というテーマに向き合って作りました」と明かしている。
「神と人との間」「富美子の足」「悪魔」は、18年に東京・テアトル新宿ほか全国順次公開。なお「神と人との間」は、第30回東京国際映画祭(10月25日開幕)の日本映画スプラッシュ部門に出品されている。
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