倍賞千恵子、渥美清さん&高倉健さんとの貴重な裏話明かす
2017年9月6日 15:55

[映画.com ニュース] 倍賞千恵子と故渥美清さんが共演した映画「水溜り」(1961年、井上和男監督)が9月6日、東京・神保町シアターで開催中の「女優 倍賞千恵子 特集上映」内で上映。「夏と真冬の間は滞在する」という北海道から上京した倍賞が、同館での舞台挨拶に出席した。
国民的人気シリーズ「男はつらいよ」(69~95)のさくら役で不動の人気を獲得し、庶民派女優の代表格として活躍し続ける倍賞。同シリーズの前に渥美さんと初共演していた「水溜り」に触れ、「しばらく、あの役(300円をくれるおじさん)が渥美さんとわからなかった。だいぶ経ってからインタビューで聞かれ、わかったんです。だからお金をもらったおじさんという印象」と笑った。
さらに、山田洋次監督と初タッグを組んだ「下町の太陽」(63)については、「私の庶民派のイメージが出来た映画でもありますし、いまの私に至るまでとても大事な役」としみじみ。「霧の旗(1965)」での役づくりを「三点倒立を毎日欠かさずやっていました。(相手役は)大先輩の滝沢修さんですから、とにかく集中力をと思って」と語るなど、貴重な裏話の数々で観客を唸らせた。
そして「幸福の黄色いハンカチ」(77)、「遙かなる山の呼び声」(80)などでは故高倉健さんと共演。「(初対面時)喫茶店での打ち合わせで、ものすごく緊張しながら向かいに座っていましたら、健さんがやおら時計を外し、私の水の中にポシャっと入れたんです」と喜々として明かし、「『何するんですか!』と言ったら、『いや、防水ですから大丈夫です』。(その気使いで)気持ちがほどけた」と目を細める。続けて「駅/STATION」(81)に言及し、「健さん演じる刑事が、私が男の人といる部屋に来てピストルを向けるシーン。健さんは朝から暗がりでストレッチしていたんです。なんだか近寄りがたく、集中力を高めていたんですね。(本番で)ピストルを向けられた時に『殺される』と思った。本当に刑事が復讐する気持ちが伝わってきたんです」と述べた。
また、マルセル・パニョルの戯曲「ファニー」を翻案した「愛の讃歌(1967)」撮影前は、「失恋していた」と告白。「松竹に外国にひとり旅したいとお願いした。飛行機に乗った瞬間に、わあわあ1人で泣いちゃった」と苦笑しつつ、「ある人から『マルセル・パニョルに、本にサインしてもらってきて』と頼まれたんです。フランスに着いて連絡すると、マルセルさんは避暑地に行ってしまっていた。すると領事館の方が連絡してくれて、わざわざ戻ってきてくれたんです。サインしてもらって『ああ、これで日本に帰らないといけない』と思った。(その後映画化されたため)失恋がなければ、無かった映画かもしれない」と不思議な縁に思いを馳せた。
最後に、「これからの女優人生は」と聞かれた倍賞。「映画自体は170本に出ています」としたうえで、「正直、170本でいいかなと思っていたんです。でも来年、2本ばかりやりたいのがあるので、もうちょっと、と思っています」と意気込み、「人間としてたくさんの人と出会い、楽しく生きていきたい」と話すと、場内を温かい拍手が包み込んでいた。「女優 倍賞千恵子 特集上映」は、9月29日まで神保町シアター、11月に神奈川・横浜シネマリン、その後大阪・シネ・ヌーヴォ、愛知・シネマスコーレなど全国で開催。
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