「オン・ザ・ミルキー・ロード」クストリッツァ監督、動物たちへの演技指導のコツとは?
2017年9月4日 14:00
[映画.com ニュース] 「アンダーグラウンド(1995)」「黒猫・白猫」などで知られるエミール・クストリッツァ監督が最新作「オン・ザ・ミルキー・ロード」を引っさげて来日。9月3日に東京・渋谷のユーロライブで行われた試写会に登壇し、観客からの質問に答えた。
9年ぶりの新作となる本作ではクストリッツァ監督自らが主演を務め、相手役には“イタリアの宝石”モニカ・ベルッチを起用。戦争下にある国を舞台に、ミルク売りの男の恋の逃避行が描かれる。
自身が監督する長編映画に主演するのは今回が初めてとなったが、クストリッツァは「新しく発見したといえる事実は、2度と自分の映画で主演はしないということ」と自虐的に語る。「監督と役者の一線を越えて、両者を行き来するのは難しいことでしたし、自分が描きたい作品の世界に、役者として参加することの難しさを学びました」と苦笑いを浮かべた。
本作を含め、これまでもさまざまな形で戦争を描いてきたが「私は、常に世界で起きていることと逆方向の道を歩み続け、この20年の間、バルカン半島で起きたことを観察してきました。今、世の中には戦争映画があふれています。地球上で戦争の準備をすること、戦時中であることが普通になっています。アメリカを中心とした多国籍企業が戦争と利益の悪循環を引き起こし、第2次世界大戦後に起きた戦争は49を数えます。ヒューマニストの役割を担おうとすれば、その状況を悪化させてしまうという状態に陥っているのです」と戦争に覆われた世界を嘆いた。
また、監督の映画といえば動物たちが重要な役割を担っていることが大きな特徴でもある。本作でも、鳥と遊び、熊とたわむれ、蛇までもが見事な演技を披露しているが、動物たちへの“演技指導”について問われると「人間と同じで、食事さえきちんと与えればいい演技をしてくれるのです」とさも当然という表情で語る。「今、人間よりも動物に愛情を持っているという人も多いですね。テレビで何千という人が殺される映像が流れてもマヒしていますが、動物が1匹でも殺される映像に接すると感情的になります。人が人を殺すとき、その始まりに理由があっても意味はありません。動物同士の殺し合いは、食べるためでありそれ以上の理由はありません。私は、感情的なシーンを映画で作るために、必ず動物たちを入れるようにしているのです」と説明した。
最後に観客に向けて「映画を見るということはフィクションに入り込むということであり、人生を広げることでもあると思います。だからこそ、私は映画を作り、バンドで演奏をするんです」と映画、芸術への愛を呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。
「オン・ザ・ミルキー・ロード」は、9月15日から全国公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【本作は観るべきか、否か?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか…!? 不適切報道では…?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【私が“死ぬとき”を、見届けて】あなたならどうする――? 魂に効く珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー