「ベイビー・ドライバー」の新鋭アンセル・エルゴート「僕にとって特別な映画」
2017年8月25日 15:00

[映画.com ニュース]ハリウッド期待の若手俳優アンセル・エルゴートが、主演映画「ベイビー・ドライバー」を引っさげ来日を果たした。DJの顔も持つベビーフェイスの新鋭が、全編にわたり音楽が映像を突き動かす本作への特別な思いを語った。
映画は、ひとたび好きな音楽を聴けば天才的な運転テクニックを発揮する、銀行強盗の逃走車の運転手ベイビーを主人公にしたアクションスリラー。イギリス出身の人気監督エドガー・ライトが、自ら選曲した楽曲に合わせてオリジナル脚本を執筆し、初めてアメリカでメガホンをとった。
現在23歳のエルゴートは、ベストセラー小説を映画化した「きっと、星のせいじゃない。」でブレイクし、続く「ダイバージェント」シリーズで主要キャストに抜てきされた。デビューから4年足らずでスターの階段を着実に上っているが、「ハリウッド映画は、残念だけどアート性よりもビジネス色が強くなっていると思う」ときっぱり。「毎回ユニークな作品をつくる監督がいて、そのひとりがエドガー・ライト。独自のバイブやビジョンがあって、特別な映画をつくってくれる。どんな作品だろうと、間違いなく特別な映画になると思っていたからこそ、ワクワクした」と絶大な信頼を寄せる。
サウンドトラックはすべてライト監督による選曲だが、ベイビーにとって母親の思い出の曲であるコモドアーズの「Easy」はエルゴートのお気に入りの一曲。オーディションの時に、同曲を口パクで歌ったのがきっかけだ。「最初からすべての楽曲が脚本に組み込まれていたから、自分の好きな曲を入れてもらえて驚いたよ。エドガーは何も言わずに加えてくれたから、僕は送られてきた改稿版を読んで、『Easy』が入ってる!ってすごくワクワクしたんだ」と当時の興奮を再現した。

撮影現場では、各場面で使用する音楽を実際に流しながら撮影した。それは、「ユニークな経験」であると同時に、「観客が曲から受け取るムードも考えながら演技ができるからとても役だった」と断言する。特に、「ダイナーで(恋人デボラ役の)リリー(・ジェームズ)に『午前2時に出発』というメモを渡す場面では、壮大な音楽(ブレンダ・ハロウェイの『Every Little Bit Hurts』)が流れていたおかげで、力強い表情ができたと思う」と自信をにじませる。
音楽は共演者と気持ちをひとつにするのに一役買っただけでなく、役柄に没頭するのにも役立った様子。強盗仲間で危険人物のバッツを演じたジェイミー・フォックスとの共演シーンでは、「威圧的なことを言ってくるから、ベイビーならiPodの音量を最大にしてバッツの声をかき消すだろうなと思って、僕もそうしたんだ」。しかし、相手は“アドリブ王”のフォックス。「後でそのテイクを見た時に、実際に聞いていたら絶対に笑っちゃっただろうなってアドリブがあったよ」と声を弾ませ振り返った。
ライト監督は来日記者会見でエルゴートの起用について「自分と脚本、物語を結び付けてくれるもの、音楽への愛を共有していたことが大切だった」と語ったが、エルゴートの言葉にも自然と音楽への愛があふれだす。「同じ曲を一緒に聴くと同じ気持ちになれる。だからこそ、人は音楽を聴いたときに絆が生まれる。パーティでも、ロマンチックなディナーでも、ひとつの音楽を分かち合うことで関係を深めていけると思うんだ」と目を輝かせた。
音楽が主人公や物語をリードする唯一無二のスタイルだけでなく、細部にいたるまでこだわりがちりばめられ、シリーズ作が乱立するハリウッドでひときわ個性を放つ作品に仕上がった。「この映画は少なくとも3回は見てほしいな。僕は7回見た。自分の出演作で最多だよ」とエルゴートの思い入れも強い。犯罪の一端を担がされながらも善意を失わないベイビーさながらの純粋さで、「僕にとって特別な映画で本当に大好きなんだ」と締めくくった。
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