ジム・ジャームッシュ監督、「パターソン」は約25年温め続けた念願企画!
2017年8月23日 18:00
[映画.com ニュース] ジム・ジャームッシュ監督が、「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来約3年ぶりに手がけた新作「パターソン」の舞台裏について語った。
舞台は、米ニュージャージー州パターソン。町と同じ名前を持ち、詩を愛するバスの運転手パターソン(アダム・ドライバー)のおだやかで温かな1週間を、妻や愛犬、知人との関係から紡いでいく。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」や「沈黙 サイレンス」で知られるドライバーが主演を務めるほか、「彼女が消えた浜辺」「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のゴルシフテ・ファラハニがパターソンの妻、「ミステリー・トレイン」でもジャームッシュ監督と組んだ永瀬正敏が、パターソンと出会う日本人詩人を演じる。
ジャームッシュ監督は、パターソンという町を舞台にした理由を「たしか25年ぐらい前かな。(詩人)ウィリアム・カーロス・ウィリアムズがパターソンにささげた詩を読んで、とても興味を持ったんだ。パターソンはニューヨークからそれほど遠くないから、簡単に日帰りできる。それで1日ふらりとパターソンを訪れた。映画の中でバスの運転手のパターソンが座っていたのと同じ滝のそばに座って、工場やビルが並ぶ街を見て回った。それでいつかここで映画を撮りたいと思ったんだ」と明かす。「ウィリアムズはパターソンという街全体を人のメタファーとして書いていた。それで僕は、パターソンという男がパターソンに住んでいる、ということを思いついた。彼は労働者階級でバスの運転手で、同時に詩人でもあるという。こういうアイデアをすべて当時思いついたまま、長いことキープしていたというわけなんだ(笑)。パターソンという街は歴史的にもとても興味深いところで、さまざまなアーティストと関連があるし、特別な場所だ。それはメンフィスやニューオーリンズとも異なる。とてもミステリアスなところだと思う」。
ジャームッシュ監督は本作を「詩のフォームをした映画」と評するが、劇中ではもう1人の主人公として、数多くの詩が登場する。現代詩人のロン・パジェットが手がけた詩の数々は、寡黙なパターソンの内に流れる妻への愛情や日々への慈しみを表面化し、パターソンの内面を映す鏡のような役割を果たしている。ジャームッシュ監督は「僕は彼の詩が大好きでね。まず彼がすでに書いている詩の中から、パターソンが書きそうなトーンのものを選んだ。それでロンに、これを使わせてもらうか、あるいはこんな調子の新しい詩を書いてもらうかどちらがいいかと尋ねたら、彼が『もちろん新しいのを書くよ』と(答えた)。それで彼に脚本を渡して書いてもらったんだ。でも古い作品も使っているよ。たとえばオハイオ・ブルーチップ・マッチの詩などだね。ちなみにあのマッチは、今はもう存在しない。だからこの映画のために美術スタッフが復刻版を作ったんだ」とパジェットとのコラボレーションについて語る。
長年温め続けてきた企画だけに、出演者選びは困難を極めたのかと思いきや「普段は一緒に仕事をしたい俳優を考えて書くことが多いけれど、今回は男優、女優とも特に考えていなかった」といい、フラットな目線でキャラクターを作り上げたという。その中で、「あるときアダムのインタビューをラジオで聴いて、興味を持った。そして実際に会って、彼こそパターソンだと思ったんだ」と運命的な出会いが訪れたと振り返る。「彼は海軍にいた経験があるけれど、その一方でジュリアード音楽院に通っていた。そういうところも、労働者階級だけどアーティスト、というパターソンと共通している。それに彼はとても謙虚な人物だ。俳優としては直感的で、僕と同様に色々と分析したりしない。彼と仕事できたことは素晴らしい経験だったよ」。
永瀬が演じるキャラクターはパターソンとは真逆で、“当て書き”だったそう。「この役は彼のために書いたんだ。というのも、パターソンにある滝からなぜか日本を彷彿とさせられて、日本人のキャラクターを思いついたから。それで彼に脚本を送ったら、引き受けてくれた。素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたよ。彼はとてもすぐれた俳優だ。ラストの永瀬とアダムのシーンはすごく人間味があって、美しいシーンに仕上がったと思う」と満足げに語った。
「パターソン」は、8月26日から全国順次公開。
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