「ダゲレオタイプの女」と怪談噺には類似性あり?落語家・林家正雀、持論を展開
2016年10月31日 14:00

[映画.com ニュース] 怪談噺(ばなし)で知られる落語家・林家正雀が、黒沢清監督の海外初進出作「ダゲレオタイプの女」(公開中)を落語家の視点で解説するトークイベントが10月29日、東京・新宿シネマカリテで開催された。
被写体を長時間拘束する世界最古の写真撮影方法“ダゲレオタイプ”を題材に、芸術と愛情の間でおぼれていく写真家ステファン(オリビエ・グルメ)、ステファンのモデルを務める娘のマリー(コンスタンス・ルソー)、ステファンの助手でマリーにひかれていく青年ジャン(タハール・ラヒム)の悲劇的な愛の行方を描く。
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した「岸辺の旅」や、西島秀俊と香川照之が共演した「クリーピー 偽りの隣人」でもホラー要素を巧みに取り入れて独自の作品世界を構築してきた黒沢監督が、仏パリ郊外にたたずむ館を舞台に、美しくも不穏なムードをたたえた物語を創出している。正雀は、怪談噺での幽霊の表し方を「シャキシャキ話していた人も死ぬとゆっくり眠そうにしゃべる。そして、ゆっくり扉が開く、風がそよそよする、どこかから生あたたかい風が吹いてきて、障子がすーっと開く、という表現をするんです」と解説し、カーテンや植物、照明の揺らぎを効果的に用いた本作との類似性を指摘する。
また、怪談噺として有名な「牡丹灯籠」を例に挙げ、本作の魅力を考察。「『牡丹灯籠』は、中国の古典「牡丹灯記」を(三遊亭)圓朝師匠が落語にしたもの。幽霊のお露が新三郎にほれて関係を結ぶ話ですが、この映画も生きている男と死んだ美人が関係を結ぶ、その構成が近いですよね。女優がどんどんきれいになっていくんです。なんだか、不思議な気がしましたね」と作品のキーがヒロインにあると語った。
ギョーム・ブラック監督作「女っ気なし」で知られ、オーディションで役を勝ち取ったルソーは、浮遊感をまとった演技で印象を残す。「実は怖い映画はあまり好きじゃない」とぶっちゃけて観客の笑いを誘った正雀は「怖かったんですが、女性がきれいで見入りました。やはり女性の魅力は強いんです。彼女はどんどんきれいになっていく。まさに幽霊女優です」と絶賛した。
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