マイケル・ファスベンダー&アリシア・ビカンダー、ベネチアに仲睦まじく登場
2016年9月3日 16:24

[映画.com ニュース] ベネチア国際映画祭2日目を迎えた9月1日(現地時間)、早くも今年のコンペ作品の注目作、ドゥニ・ビルヌーブの「メッセージ(原題Arrival)」と、デレク・シアンフランスの「The Light Between Oceans(原題)」が披露された。
前作「ボーダーライン」が高い評価を受けたビルヌーブの新作は、テッド・チャンの短編「あなたの人生の物語」をもとにしたSF。地球に突如着陸したエイリアンの宇宙船に世界がパニックに陥るなか、言語学者(エイミー・アダムス)と数学者(ジェレミー・レナー)が彼らとのコンタクトを試みる。ビジュアルとサウンドデザインには定評のある監督だけに、これまでのエイリアン侵略ものとは趣を異にするオリジナリティが目を引く。さらに主人公は女性で、“戦うヒロイン”ではなく母性的な面にフォーカスしている点も、「エイリアン」のシガニー・ウィーバーと異なりユニークだ。
現在次回作「ブレードランナー」を撮影中の監督は、残念ながら会見には欠席したものの、主演のアダムスとレナーが現れると大きな拍手と歓声が沸き起こった。アダムスは自分がキャスティングされた理由を監督に尋ねたエピソードを披露し、監督から「このキャラクターが何を考えているのかが知りたい。君の演技を見ていると君が考えていることがわかるから」と言われたことを明かした。実際セリフは少なめで、映像表現で見せていくアプローチでだが、「ドゥニは観客がこのエモーショナルな旅についてきてくれると信じているの。それはとても美しいことだわ」と語った。アダムスは本作に加え、同じくコンペに出品されたトム・フォードの新作にも主演している。
一方、「ブルー・バレンタイン」でブレイクしたシアンフランスの新作は、M・L・ステッドマンのベストセラー「海を照らす光」の映画化。いま飛ぶ鳥を落とす勢いのマイケル・ファスベンダーとアリシア・ビカンダーが、本作の共演をきっかけにカップルになったことでも話題に。流産で子どもを失った若く純粋な妻と夫の灯台守が、孤島に流れ着いた赤ん坊を発見したことで運命に操られていくさまを、圧倒的な自然の映像美とともにドラマチックに描く。親密なシーンに至るまで強力なケミストリーを発揮する主演のふたりは、レッドカーペットでもナリュラルに仲睦まじい雰囲気を醸し出していた。
ベネチアのコンペティションは近年、アカデミー賞に絡む作品のキックオフになるケースが増えているが、この2作品もその可能性が濃厚だ。(佐藤久理子)

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