大友啓史監督、最新作「ミュージアム」で追求する“特殊造形”を語る
2016年3月22日 12:00

[映画.com ニュース] 小栗旬と大友啓史監督がタッグを組んだ映画「ミュージアム」の撮影現場が、このほど報道陣に公開された。大友監督は神奈川・川崎市内のロケ地で取材に応じ、今作で追求している“特殊造形”への思いを語った。
巴亮介氏の同名漫画(全3巻)を原作とするサイコスリラー。雨の日にだけ起こる猟奇殺人事件を追う刑事・沢村久志が、カエルのマスクをかぶった犯人「カエル男」の策略にはまり、憎悪をつのらせながら事件に挑む姿を描く。この日は、沢村がカエル男のアジトに乗り込むクライマックスシーンが撮影された。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」や映画「るろうに剣心」シリーズ、「プラチナデータ」など、さまざまなジャンルで手腕を発揮してきた大友監督。今作で心血を注いだポイントとして、「特殊造形。カエル男のマスクや、趣向を凝らして次々と殺していく死体の有り様」を挙げる。「カエル男にとって、それ(殺人)は独創的なアートになっています。その造形はただの残虐な死体というよりも、カエル男の美意識が入り込んでいきます」と犯人の動機を詳述し、「殺す相手の生活、考え方、人生、置かれている問題を全て調べ上げ、それに当てつけるようなやり方をしてくるんです。『母の痛みを知りましょうの刑』とか、ひとりひとりに彼なりの罰を与えていくという着眼点が面白い」と説明。カエル男が芸術と称する殺人を、物語の重要な一面ととらえた上で「だからこそ、そこを造形として表していくのは、しっかりやらなくちゃいけない」とテーマを掲げた。
その姿勢は、報道陣に披露された大型セットが何よりも雄弁に語っていた。大友監督たちは、川崎市内の体育館にコンクリートの質感を持つ重厚なセットを建て、カエル男が殺人を企てるアジトを創出。被害者をもてあそぶ写真、精巧なマネキン、現場を俯瞰するミニチュア、血が付着した解体器具などが整然と並ぶ空間は、カエル男自身の醜悪な腸(はらわた)のメタファーでもある。映画を支配するカエル男の周到な不気味さに“すごみ”を持たせるため、大友監督は装飾や特殊造形をこだわり抜いている。
「(生田斗真主演の)『秘密 THE TOP SECRET』は、脳をどう見るかというガジェット勝負。『るろうに剣心』はアクション勝負だった」と、大友監督はこれまでの作品で挑んだ“勝負”を振り返る。「『秘密』で一歩踏み込んだ特殊造形を、僕の中に取り込みたい。『るろうに剣心』でアクションという武器を手に入れたように、特殊造形を忘れる前に今回もやっておいて、もうひとつの武器にしたいんです」と野心を告白した。
当のカエル男を演じる役者は、いまだ明らかにされていない。大友監督は「豊かなキャラクターは、当然のように物語からはみ出していく。カエル男を演じる彼(俳優)は、それを楽しんでくれていますから。魅力的な悪役になると思いますよ」と含みを持たせつつ、「今朝素顔の彼と会ったんですけどね、(特殊メイクで固めているため)映画で見ていると誰だかまったくわからないよ、本当に。『誰、きみ。違う人じゃん(笑)』という話をね、本人としました」と語る。そして、「『るろうに剣心』の志々雄真実、『秘密』の絹子、そして今回。自分では“異形三部作”と言っています(笑)。悪役が魅力的になればなるほど、映画は豊かになっていきますよ」と不敵な笑みを浮かべた。
「ミュージアム」は、主演・小栗のほか尾野真千子(沢村遥役)、野村周平(西野純一役)、丸山智己(菅原剛役)、田畑智子(秋山佳代役)、市川実日子(橘幹絵役)、伊武雅刀(岡部利夫役)、松重豊(関端浩三役)、大森南朋(沢村の父役)が共演。今秋に全国公開される。
(C)巴亮介/講談社 (C)2016映画「ミュージアム」製作委員会
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