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オスカー受賞脚本家が明かす!「マネー・ショート」は“あの日本映画”と同様のアプローチ

2016年3月2日 12:00

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オスカーに輝いたチャールズ・ランドルフ(写真左から2人目)
オスカーに輝いたチャールズ・ランドルフ(写真左から2人目)
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

[映画.com ニュース] 2008年に発生した世界的金融危機“リーマンショック”を予見した4人のアウトローを描き、第88回アカデミー賞で脚色賞を受賞した「マネー・ショート 華麗なる大逆転」の脚本家チャールズ・ランドルフ(「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」「ラブ&ドラッグ」)が、インタビューに応じた。

映画は、ヘビーメタル好きの金融トレーダー・マイケル(クリスチャン・ベール)、正義漢のヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーブ・カレル)、野心的な銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)といった男たちが、ウォール街を相手にマネーゲームを仕掛けるさまを描く。

かつて福岡県に半年間住んでいたというランドルフは「アメリカ(人)は倫理的なビジネス面においての選択を、カジュアルにしてしまう傾向がある。出来事が悪い方向にいったとしても、それは例外だろうと思ってしまいがちなんだ。実際に映画で描かれているように、自分で体験しないとわからない」と警鐘を鳴らしつつ、日本人を見習うべきだと話す。「日本人は名誉をすごく大切にする文化をもっているから、腐敗や欺瞞(ぎまん)に対しても厳しい目をもっている。だから、アメリカも日本的な見方をすればいいのにと思う」。

日本通の一面を明かしたランドルフは「伊丹十三の『タンポポ』や『お葬式』はコメディではあるんだけど、社会的な考察というのも含まれている。この作品もアプローチの仕方は同様で、権力や体制に対して物申すような描き方は通常ではシリアスになってしまうけど、本作はそれをコメディとして描いているんだ」と力を込める。リーマン・ショックの裏側をわかりやすく、かつウィットに飛んだ語り口で描いているのが本作の特色だが、脚本を共同執筆したアダム・マッケイ監督の存在が大きな支えとなった。「アダムは書き手としても娯楽性に富んでいる。僕が初稿を書いたあとにアダムが作業したのだけれど、コメディの部分をより大きくしてくれた。とても気に入っているよ」。

「(マッケイ監督によって)変更されたシーンについても、僕の1番いいところをすくってくれている。あと、個人的にすごくおススメなのが、役者たちがところどころにアドリブを加えているところ! 本当に笑っているような場面がいくつもあるから、そこもぜひ注目して見てほしいな」と脚本家として懐の深さを見せ付けたランドルフだったが、監督や俳優がそれぞれの色を発揮できたのは、優れた土台があってこそ。脚本作りには「3つのハードルがあった」と振り返った。

「まず、キャラクターの心理描写や心象風景が、彼らの行動や仕事と合っていなければならない。2つ目はトーンだ。始めに書いたのが、原作にはないフロリダを舞台にしたパートだったのだけれど、原作よりももっとコメディトーンに仕上げてもいいんじゃないかと思って(最適なトーンを)模索した。3つ目は、誰か1人のキャラクターに絞るのではなくて、それぞれを追っていくという構造を考えなければならなかった」。

マネー・ショート 華麗なる大逆転」は、映画「マネーボール」(11)の原作者マイケル・ルイス氏によるノンフィクションを映画化。3月4日から全国公開。

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