ビートたけし×ウェイン・ワン監督が目撃した、西島秀俊のうれしそうな表情
2016年2月28日 12:00
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[映画.com ニュース] 世界的な評価を受ける2人のフィルムメイカーが、監督と主演俳優として対じした。ウェイン・ワン監督とビートたけし。さらに、構想段階から参画していた西島秀俊を加えた魅力的なトライアングルが形成された。静ひつな映像美の中で繰り広げられる究極の心理戦。国境を越えてたぐいまれな才能が結集した、日本映画の新機軸が「女が眠る時」だ。
米国を拠点とする香港出身のワン監督が、「ニューヨーカー」誌に掲載されたスペイン人作家ハビエル・マリアスの短編小説と出合ったのがすべての始まり。これを日本映画として製作するという大胆な発想が、たけしを引き寄せたといえる。
「僕はもともと北野武のファン。たけしさんがこの企画に興味を持っていると聞いたので、ぜひ撮りたいと思ったんだ」
妻と郊外のリゾートホテルで休暇を取っていた作家の健二(西島)は、プールサイドでひときわ異彩を放つ男にくぎ付けになる。孫ほども年齢の違う美女・美樹の寝姿を少女の頃から撮り続けているという得体の知れない佐原(たけし)だ。その異常性愛ともいえる行動に健二は心を奪われ、現実ともう想の間をさまようようになっていく。
たけしが自身の監督作以外で映画に主演するのは「血と骨」以来12年ぶり。俳優に専念する場合は、監督としての視点は一切封印するという。
「監督としての考え方がちょっとでもあると、俺だったら頭のシーンからこうやりたいってなっちゃうからさあ。それは自分が監督をやった時に、役者の方からこのシーンはこうやった方がいいって言われると腹が立ってしようがないから。2度とこいつは使わないって思うもん」
西島は2002年「Dolls(ドールズ)」の主演に抜てきされたのを機に飛躍を遂げた。昨年の「劇場版MOZU」でも共演したが、前作では公安警察官と日本の犯罪史の闇を牛耳るダルマとしてクライマックスで激突。今回は完全な心理戦で、ジワジワと追い詰め、追い詰められていく静かな“攻防”に目が離せなくなっていく。
西島「北野さんの、弛緩しているところと殺気が同居しているのは何なんですかねえ。本当に不思議。今回はそれを目の前で見られたので、自分も獲得していきたいなって思っています」
たけし「ダルマから変態へって、俺はいったいどうなってんだって感じだけれどね」
自ちょう気味にギャグに変えるたけしだが、西島の成長を素直に喜ぶ。
「役者ってのは食材だから。中国産じゃないやつね。誰が調理するかの問題であって、素材としては年期も踏んでいるし間違いがない役者で、どんなことでもこなすと思うよ。使う監督がダメなら作品がダメになるだけ」
ならば、再び監督としての起用を期待してしまう。
「台本を書いてみて、誰にこの役をやらせたらいいかなってなって、あれ? これ西島くんだと思ったらすぐ頼みに行くよ」
この時の西島の、何とも言えないうれしそうな表情が印象的だった。
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