【緊急レポ:話題のMX4Dと4DX、そして“極上爆音”を「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でハシゴしてきた!】
2015年7月9日 13:15
デジタル3D、IMAXやTCX、ウルティラにドルビーアトモスなどさまざまな上映フォーマットが乱立し、時に追加料金も必要な最近の映画館事情。すべて把握するのは至難の業だし、「面白い映画はどんな状態で観ても面白い」なんて意見もあるけれど、映画はそもそもテクノロジーとともに進化してきたメディア。新しい可能性から目を背けるのはもったいない!
そして6月にTOHOシネマズ新宿と六本木に導入されたことでにわかに脚光を浴びているのが“MX4D”だ。いわば「映画館meetsディズニーランドの“スター・ツアーズ”」。映画に合わせて椅子が震えたり揺れたり、水しぶきがかかったり突風が吹いてきたりする体感型の上映方式である。
ただし「あれ? それって“4DX”じゃね?」と思った人もいるはず。確かに2013年に日本初上陸した“4DX”も、椅子が上下左右に動き、風や水、煙にフラッシュライトなどMX4Dと共通する効果を駆使している。
じゃあMX4Dと4DXって同じなの? そこで同じ映画で観比べてみようと「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でハシゴしてきました。ついでにカルト人気が沸騰中の立川シネマシティの“極上爆音上映”も含めて、1日で3種類の「マッドマックス」を体験してきたのでレポします!
「マッドマックス」と言えば荒廃した近未来の地球を舞台に、イカレた改造車が荒野を爆走するカーアクション。MX4DではV8エンジンの振動に合わせて客席のシートがブルブル震えまくるので、主人公のマックスたちと一緒に運転席に座っているみたいだ。
ここぞというアクションに合わせてシートがガクンガクン動き、ビカビカとフラッシュが焚かれるのがジャマだという人もいるが、遊園地のアトラクションだと思えば過剰な効果も可笑しいし楽しい。
「ムチャするなあ」と感心したのが、劇中のツバを吐きかけるシーンで客席にまでブシュッと水が飛んできたこと。さすが体感型の名に恥じない趣向で、毎回“ぶっかけ”レベルの水量なのが可笑しい。人工の風の勢いも同様で、大胆な荒っぽさを楽しむのが正解だと感じた。
今度はMX4Dに先んじて始まった4DXへ。設備的な違いはシートがより大きく、水や風を発射するノズルがシートの正面に設置されている。まるで観客に狙いを定めているようで恐ろしいと同時に期待も膨らむ。
4DXの特徴として、編集のリズムや音楽の盛り上がりなど、各シーンの演出に添ったデザインがされている。映画の空間が客席にまで広がってくるような感覚が味わえるのだ。
もちろんアトラクション的なギミックも効いている。衝撃的だったのが戦闘中に血しぶきが飛び散るシーン。実際にはただの水しぶきなのに、ぴしゃりと自分の顔に血と肉片が貼り付いたあの感触、今思い出してもゾッとする。あんなにも生々しく“映画”を感じることができたのは貴重な体験だった。
他にも砦から放水されるシーンでは客席にも上から水しぶきが降り注ぐ。水量と風量を細かくコントロールできることも臨場感を高めてくれる。作品とのシンクロ率の高さは感動モノで、同行者からは「これで熱風が吹けば完璧!」という声もあがっていた。
最後にやってきたのが立川市のシネコン、シネマシティが開催している“極上爆音上映(通称:極爆)”。もともと音響に自信ありという劇場だが、作品ごとにベストな状態に再調整。重低音は劇場全体を振るわせるほどパワフルに、しかし会話や小さな効果音もクリアに聴こえる魔法のような状態にミックスされているのだ。
さらに「マッドマックス」公開に合わせて重低音を受け持つサブウーハースピーカーを新たに増設。スクリーン前にデデンと鎮座する巨大な立方体の異様な姿が劇場の本気を伝えてくれる。
“極爆”の凄さは音響のクオリティが最大限に引き上げられ、通常の2D上映でも3D的立体感や4D系の効果を感じる錯覚に陥ること。聴覚にグイグイ刺激が入り込むことで他の感覚まで解放されるのだろうか。
筆者は「マッドマックス」が4度目の“極爆”体験。以前と違うと思ったのは、前髪がチリチリするような空気の震えがなくなったこと。その分よりバランスのいい音響になっている気はするが、残念ながら専門家ではなく、感じ方には体長や個人差もあるのでハッキリと断定はできない。
以前に使用されていた“極爆”用のサブウーハーは別スクリーンに移設されたそうで、そちらでも“極爆”をやっている。劇場側はまた個性が異なる“極爆”であると説明しているので、別の機会に聴き比べてみたい。
で、MX4Dと4DXと極上爆音、「一体どれがベストなの?」という答えを期待されていると思うのだが、こればかりは「ケースバイケースです」と答えるしかない。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」に関して言えば、音響の迫力なら“極爆”が勝るし、4DXが提供する五感をフルにして得られる興奮も素晴らしかった。
またMX4Dと4DXは設備の上では似ているが、演出コンセプトの点でまったくの別物だと判断した。片方だけを体験して十把一からげにするのは避けて欲しいところ。
今夏は「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」「ターミネーター:新起動 ジェニシス」「ジュラシック・ワールド」など超大作が続々と4DXやMX4Dで公開される。特に「アベンジャーズ」の4DXは通常版に加えてアイアンマンとハルクをメインにデザインされた全3バージョンが楽しめるという。選択肢が増えすぎて悩ましい限りだが、映画ファンにとっては嬉しい悲鳴と言っていいのではないだろうか。
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