ぺ・ドゥナが心に傷を持つ女性を繊細に演じる「私の少女」チョン・ジュリ監督に聞く
2015年4月30日 14:00

[映画.com ニュース] 「空気人形」「クラウド アトラス」など国際的に活躍するぺ・ドゥナと、「アジョシ」「冬の小鳥」で注目を集めたキム・セロンが共演する「私の少女」が、5月1日に公開される。ある理由で田舎に左遷されたエリート女性警察官と、家族から虐待を受けている少女の交流をイ・チャンドンのプロデュースで繊細に描いたドラマだ。本作が長編デビュー作となる新鋭チョン・ジュリ監督が来日し、作品を語った。
主人公の孤独な警官ヨンナムをペ・ドゥナ、キム・セロンが少女ドヒを演じる。暴力、セクシャルマイノリティ、外国人の不法就労問題など様々な社会の闇を浮き彫りにしながらも、心に傷を負った女性ふたりの交流を美しく繊細な映像で描き出す。
ペ・ドゥナが出演を即決し、韓国を代表する人気女優の初共演が話題を呼んだ本作、撮影直前まで多忙なふたりの顔合わせはかなわなかったそう。しかし、それが思わぬ効果を発揮した。「配役を考えたとき、真っ先に頭に浮かんだのがこのふたりでした。私が期待していた以上に、お互いが親しくなり、見つめ合って、いろんなことを話して、気持ちを交流させていったという過程が映画の中にうまく反映されていると思います」
長編初監督作ということで、撮影、編集作業ではイ・チャンドンからの指導が大きな支えとなった。「私はこれまで短編しか撮っていなかったので、どのように時間配分をすべきか考えるのが難しかったです。撮影したすべてのシーンが大切なので、全部入れたくなるのですが、取捨選択をしなければいけないということ、2時間の物語の中で緩急をつけることが大切だというイ監督からのアドバイスが力になりました」
(C)2014 MovieCOLLAGE and PINEHOUSE FILM, ALL RIGHTS RESERVEDあらゆるジャンルの作品を見ていたという映画好きの父親の影響で、幼い頃から映画監督を目指すようになった。影響を受けた監督はスタンリー・キューブリック、デビッド・リンチ、ジャン・ルノワール、ペドロ・アルモドバルら。中でも尊敬してやまないのは今村昌平監督だ。「20歳のときに『うなぎ』を見て感激し、それ以前の作品も探して見るようになりました。独自の世界観、人間観を持っていらっしゃる監督だと思います」
本作では“女性の生きづらさ”もテーマとして盛り込まれているが、映画業界に身を置くチョン監督自身はどのように感じているのだろうか。「私がもし、同年代の友人と同じように結婚して子どもを持っていたら、このように作品を発表する機会に恵まれず、映画監督としてデビューもできなかったと思います」と率直に明かす。映画監督を目指す女性は数多く存在するが、やはり男性より制約が多いと感じている。「女性も男性と同じようにがんばっているので、根性や粘り強さがないからあきらめるということは決して無いと思うのです。それでも数が少ないというのは、やはり、女性が生きにくい環境があると思うのです」
しかし、そんな状況でも、近年は女性が活躍できる場所が徐々に増えているそう。「商業映画の世界では相変わらず困難はあるのですが、ここ数年、低予算やインディーズの小さな規模の作品、アート系の作品では若い女性がどんどん活躍しています。そういったジャンルで希望が持てそうですね」
「私の少女」は5月1日から渋谷・ユーロスペース、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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