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直木賞作家・角田光代、著書の映画化は「観客として純粋に楽しむ」

2015年2月28日 10:00

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映画の魅力を語った角田光代氏
映画の魅力を語った角田光代氏

[映画.com ニュース]直木賞作家の角田光代がCS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送中のオリジナル番組「この映画が観たい」に出演することになり、このほど都内で収録に臨んだ。「小説とはまた違ったすごい力で、現実を忘れさせてくれるすばらしい娯楽」と映画の魅力を語る角田氏。「空中庭園」「八日目の蝉」「紙の月」と著作の映画化も多いが、「どんなに(原作と)変わっていても、観客として純粋に楽しんでいる」と思いを明かす。

毎回ゲストを招き、かけがえのない“映画体験”と、それにまつわる人生エピソードを語る同番組。角田氏は自身の執筆活動にも強い影響を与えた、バラエティに富む5本を紹介している。

例えば、「伏線がもたらすカタルシスを学んだ」というスタンリー・キューブリック監督の名作ホラー「シャイニング」(1980)。原作者スティーブン・キングとの“確執”でも知られる同作について、「小説が描いている希望を、映画が台なしにしていますもんね(笑)。私にとっては、いまだにホテルの廊下を曲がれないほど、強烈な影響を与えている。いつかホラー小説も書きたいんですが、これがあるから書けない」と白旗をあげる。

同じく「とにかく伏線の処理がうまく、小説のお手本にしたい」とうなるのが、第81回アカデミー賞で作品賞をはじめ8部門に輝いた「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)。また、アカデミー賞の常連であるコーエン兄弟が手がけた「バーバー」(2001)には、「個人的にずっと唱えている『人生玉突き事故説』をうまく描いている」と共感を示した。

アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」(1991)は、「すべてが大好き」とべた惚れの一作だ。個性豊かなメンバーによって結成されたソウルバンドが、成功を目指す音楽映画で「登場人物はどこか弱かったり、ダメだったりするんですけど、誰のことも嫌いになれない」。映画を見た数年後には、舞台となるアイルランドに渡り、約5週間滞在もしたといい、「現地での経験は、映画と同じくらい深い影響を与えている」と話す。

「本当はこの作品に影響を受けているって、あまり言いたくないんですが…、言わずにはおれない私の原点です」と紹介したのは、なんと「ピンク・フラミンゴ」(1971)。言わずと知れたジョン・ウォーターズ監督のカルト的“悪趣味”映画に初めて触れたのは、18歳のときだといい「それまで閉じた世界で生きてきた私に『うそだ、お前はそんな人間じゃない』と言っているようで、実際、映画を通して解放された。この体験がなかったら、今書いている小説も全然違ったはず」。番組では同作を鑑賞した、今はなき吉祥寺バウスシアターでの“人生初ナンパ”についても明かしている。

「この映画が観たい 角田光代のオールタイム・ベスト」は、3月2日午後11時からムービープラスで初回放送予定。

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