「天の茶助」松山ケンイチ、大野いとがベルリンレッドカーペットに登場
2015年2月14日 13:30
[映画.com ニュース]ベルリン国際映画祭で2月13日(現地時間)の夜、コンペティション上映の最後を飾る作品として、SABU監督の「天の茶助」が上映された。レッドカーペットと記者会見には、監督とともに主演の松山ケンイチ、大野いとが参加。ブロマイドを持参したファンにサインをする一幕も見られた。
監督が自身の原作を映画化した本作は、天界で茶番頭をしている天使の茶助が、地上に生きる孤独な女性、ユリが交通事故に遭うと知り、その運命を変えるため、人間界に降り立ってさまざまな困難に遭う物語。基本はコメディでありながらも、ときにしっとりとした詩情をたたえたハートウォーミングなラブストーリーでもある。正式上映ではところどころで笑いが起こり、上映後には喝采がわき起こった。
ベルリン国際映画祭には、初監督作の「弾丸ランナー」以来、今回が8回目の参加にして初のコンペティション出品となった監督は、「これまでずっとコンペティションに出たいと思ってきたので、とてもうれしい。自分の作品はコメディ寄りのものが多く、コメディはどうしても軽くみられがちななかで、コンペティションに選んでもらえたということは、それだけ評価してもらえたということだと思います」と語った。また松山が、「お客さんがどういう反応をするのか楽しみにしていたんですけど、自分が面白いと思うところで観客も笑ってくれたので、楽しくなって一緒に笑っていました」と語れば、大野は、「すごくどきどきしながら観ていたんですが、大きな笑い声が聞こえてうれしくなりました。レッドカーペットで車から降り立ったときに、“これがテレビで観たことがあるものだ”と思い、すごく寒いはずなのに寒さも感じないぐらい、その情景に圧倒されました」と、初の海外映画祭の体験を語った。果たして審査員たちはどんな評価を下すのか、期待が膨らむところだ。
さらに併設のパノラマ部門に、日本人として唯一参加したニューヨーク在住の福永壮志の長編デビュー作「Out of My Hand」と、フォーラム部門の船橋淳の作品、「フタバから遠く離れて 第二部」も、その社会的なテーマが注目を浴びた。福永の作品は、過酷な労働条件にあるリベリアのゴム•プランテーションで働く主人公が、タクシードライバーとしてニューヨークに渡ったその葛藤と挫折を描く。初監督作とは思えない安定した演出と成熟した視点が光る。一方船橋の作品は、3年前の「フタバから遠く離れて」の続編にあたるドキュメンタリーで、3・11により福島から追われた町の人々の長期にわたる避難生活に密着。監督は、「福島の問題は時間が経てば経つほど重くなってくる。町の人々が安住の地を見つけるまでは、撮り続けたい」と、「地べたからの視点」を心がけ、彼らの生の声をすくいとってみせた。(佐藤久理子)