パリのジブリ展が大盛況 アニメファンの新名所で開催
2014年12月7日 10:40

[映画.com ニュース] 世界的にも珍しい、アニメ、コミック系のエンターテインメントに特化した美術館がパリにあるのを、ご存知だろうか。オステルリッツ駅に近い13区のセーヌ川沿いにある、スタイリッシュな建物の一角に位置するアールルディック(Art Ludique)だ。昨年11月にピクサー展で開館した後、今年3月からはマーベルコミック展を開催。アニメファンの新名所として注目を浴びている。
そんななか、第3弾の企画として開催されているのが、スタジオジブリレイアウト展である。「スタジオジブリ」という名前は、いまやフランスでも老若男女を問わず広まっている。もともとは宮崎駿映画の人気に始まり、その後「平成狸合戦ぽんぽこ」などで人気を得た高畑勲も加わって、日本のアニメを代表するスタジオとして広く知られるようになった。ちなみに今年6月のアヌシー国際アニメーション映画祭では、「かぐや姫の物語」でオープニングを飾った高畑が、名誉クリスタル賞を授与されたことでも話題になった。本展はそんな宮崎、高畑の作品を中心に、約1300点に及ぶジブリ作品のオリジナル・レイアウトを紹介している。宮崎は以前、フランスのコミック作家ジャン・ジロー(通称メビウス)と一緒に展覧会で紹介されたことがあるが、ジブリとしての本格的な個展は今回が初めてだ。ポスターに、わざわざ縦書きのカタカナが記載されているところなど、アニメファンを中心にいまや日本語が注目されていることが伺える。
Howl’s Moving Castle (C) 2004 Nibariki - GNDDDT特に好感が持てたのは、たんにレイアウトを並べたというだけではなく、アニメーションを作るプロセスを細かく、わかりやすく見せようという配慮だ。会場に足を踏み入れるとまず、図解入りでアニメ制作のディテールと専門用語が解説されている。ダブらし(Wらし:透明性をもたせたい部分のテクニックで、ひとつの絵に別の絵が半透明に重なっていること)や付けPAN(移動するキャラクターを追いかける複雑なカメラワーク)といった、一般的にはぴんとこない用語も詳しく説明され、これまで漫然と見ていたアニメのディテールが、綿密な行程の積み重ねによって初めて可能になっていることをあらためて理解させられる。これを一旦把握した上で展示を見始めると、ジブリ作品のディテールの懲り方に一層感銘を受けるのではないだろうか。とりわけ宮崎自身の各担当者に向けられた赤字注釈入りのレイアウトは、作家の意図や目の付けどころがわかり興味深い。1970年代の「ルパン三世」や「アルプスの少女ハイジ」などのTVシリーズから最新作までを時代順に網羅し、年代にそった技術的な進歩も一望できる。
さらに宮崎、高畑両者のロングインタビューの映像や、レイアウト部分にあたる各作品の映像の抜粋もあり、最後は「千と千尋の神隠し」のセットをバックに無料でインスタントフォトを撮ることができるおまけつき。またフランス語のみならず、英語の翻訳も提示されているところも、かゆいところに手が届く心くばりだ。この美術館は地元のパリジャンに限らず、海外からのツーリストも頻繁に訪れるため、これはポイントが高い。本展も週末には入場待ちの行列ができるほどで、ジブリ人気を物語っている。来年3月1日まで開催中なので、パリを訪れる予定がある方は覗かれてみてはいかがだろう。ちなみに同じ建物にはファッション系の展覧会を開催するモードとデザインのセンターや、セーヌを展望するレストラン、クラブなどもあり、観光スポットとしてもおすすめだ。Dessins du Studio Ghibliは2015年3月1日まで。(佐藤久理子)
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