青山真治監督、イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオから受けた影響を語る
2014年7月25日 20:20

[映画.com ニュース] イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督の日本未公開作を含む5作品を一挙上映するイベント「マルコ・ベロッキオ特集」のトークイベントが7月25日、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで行われ、ベロッキオ監督とゆかりのある青山真治監督が出席。自身のキャリアに大きな影響を与えたというベロッキオ作品を熱く語った。
ベルナルド・ベルトルッチとともに現代イタリア映画をけん引してきたベロッキオ監督。デビュー作「ポケットの中の握り拳」(65)の30年ぶりのスクリーン上映をはじめ、マルチェロ・マストロヤンニが主演を努めた本邦初公開作「エンリコ四世」(84)「肉体の悪魔」(94) 「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」(2009)「眠れる美女」(12)の5本を上映する。
青山監督は、「何年か経って冷静に見たけれどやっぱりすごい。当時、ロンドンで勉強してきた鬼才ベロッキオと狂ったジェームス・ディーン(ルー・カステル)がぶつかったと評された」と衝撃を述懐。その後、青山監督は、短編映画「赤ずきん」でカステルに出演オファーをし、「和気あいあいとああでもないこうでもないと楽しい時間を過ごした」のちに共作が実現。今では、「パリに行ったら必ず連絡をとって彼の家の前でピザを食う」というほどの仲だという。
また、「ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』、フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』、ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』、レオス・カラックスの『ボーイ・ミーツ・ガール』など。僕もデビュー作でこれだけキメられたらいいなと思っていた。ベロッキオのデビュー作も、間違いなく創作意欲を刺激された1本」と鬼才監督たちの鮮烈なデビュー作から影響を受けたことを明かした。
青山監督は、デビュー作「Helpless」で当時無名の浅野忠信を主演に起用したが、「デビュー作の条件があるとしたら、他の人の映画に出ていない俳優を使うこと。ゴダールならジャン=ポール・ベルモンド、カラックスならドニ・ラバン。新人監督には新人俳優というのも必要不可欠だと思う」とこだわりを語った。
74歳の今もなお現役のベロッキオ監督だが、「『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』を見た時、70歳過ぎてもまだここまでやらなければいけないのかと、嘆きというかため息が出た。作り手の性(さが)、業ですね」とたじろぎながら、「僕も今月50歳になったので、老後、余生のことを考える(笑)。できれば早めにご隠居したい」と冗談で笑わせた。
「マルコ・ベロッキオ特集」はシアター・イメージフォーラムで期間限定開催中。
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