21世紀版「男たちの挽歌」 大ヒット香港ノワール「レクイエム 最後の銃弾」10月公開決定
2014年7月8日 14:15

[映画.com ニュース] 麻薬捜査に命をかける3人の警官の裏切りや友情、壮絶な戦いを男気たっぷりに描いた香港ノワール「レクイエム 最後の銃弾」が、10月4日からシネマート新宿ほかにて公開されることが決まった。「コネクテッド」「新少林寺SHAOLIN」のベニー・チャンがメガホンをとり、主演には「奪命金」のラウ・チンワン、「ドラック・ウォー 毒戦」のルイス・クー、「ビースト・ストーカー 証人」「激戦」のニック・チョンが顔をそろえた。
子ども時代からの親友で、麻薬捜査官として活躍するマー、ソー、チャンの3人は、タイの大物麻薬王ブッダの逮捕目前まで迫る。しかし、事前に捜査情報が漏れていたことから思わぬ反撃を受け、ブッダの逮捕に失敗したばかりか、チャンを失ってしまう。それから5年後、香港の新興組織とブッダの組織との間で新たな抗争が起こり、5年前の捜査失敗の責任をとって左遷されていたマーと、逆に出世を果たして麻薬捜査班のトップになっていたソーの前に、死んだはずのチャンがブッダの組織の一員として姿を現す。
人口約800万人の香港では、興行収入1000万香港(HK)ドル以上がヒットのラインと言われており、2013年12月に香港で公開された本作は、興収3121万HKドルの大ヒットを記録。年間の興収ベストテンでも8位につけた。同年の年間トップテンに入った中華圏の作品は、本作とダンテ・ラム監督の「激戦」のみで、「アイアンマン3」や「モンスターズ・ユニバーシティ」などハリウッド映画が8割を占める中、大健闘を見せた。香港電影金像奨(香港アカデミー賞)では、作品賞、監督賞、主演男優賞ほか7部門にノミネートされた。
麻薬の描写やタイでオールロケを敢行したヘリからの掃射シーン、麻薬王ブッダとその傭兵たちとの対決を描いた怒涛のクライマックスなど、1986年にジョン・ウーが“香港ノワール”を確立させた「男たちの挽歌」を彷彿とさせる。その後に続いた一連のジョニー・トー作品や、アメリカや日本でもリメイクされた2002年の「インファナル・アフェア」など、香港ノワールは世界的にも人気が高い。しかし、近年の香港映画界は、経済力に後押しされた中国本土の資金による映画製作に飲み込まれる形で、脚本での表現の制限などもあり、思うような作品を作れずにいた。そうしたうっ憤を晴らすかのごとく現れた本作は、中国本土製作の作品に飽きていた香港市民にとっても待望の“純正香港ノワール”として大ヒットしたと分析されている。
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