「あなたを抱きしめる日まで」企画のコメディ俳優、ジュディ・デンチとの共演を述懐
2014年3月10日 14:45

[映画.com ニュース] ベストセラーノンフィクションを原作に、50年前に生き別れた息子を捜し続けた女性の物語をジュディ・デンチ主演で映画化した「あなたを抱きしめる日まで」に出演したほか、製作と共同脚本を務めたスティーブ・クーガンが、製作の経緯と撮影を振り返った。
同作は、第86回アカデミー賞の4部門(作品賞、主演女優賞、脚色賞、作曲賞)ノミネート作。スタンダップコメディ出身で、「ナイト・ミュージアム」「メイジーの瞳」などで人気のクーガンが、「クィーン」「グリフターズ 詐欺師たち」で2度のアカデミー賞ノミネート経験を持つスティーブン・フリアーズ監督に映画化企画を持ち込んだ。
クーガンは、「僕は行き詰まっていたんだ」と述懐する。アイルランドの修道院で息子を里子に出されてしまった母親フィロミナが、50年後に息子の消息を追うという、悲壮感漂う作品になってもおかしくない題材に挑んだ理由を、「人を笑わせるのも大好きだけど、僕の持ち味は滑稽さだけじゃない。それだけだと思われるのが嫌だった。(コメディの世界に)安住したくなかったんだよ。クリエイティブで挑戦的なことがしたかった」と明かす。
フィロミナ役には、英国の名優ジュディ・デンチ。クーガンは、キャリア挽回を目論んで彼女の息子捜しに手を貸す元エリート記者を演じ、皮肉の利いたユーモアたっぷりの掛け合いを見せる。
「この役に挑戦できたことは、とてもエキサイティングだった。なんといっても、多くの人が尊敬の念を抱くアイコン的存在の“デイム”ジュディ・デンチと共演できたんだからね」と語るクーガンだが、デンチの出演オファーに当たっては、実際に自宅を訪れたという。デンチは、網膜の病気である黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)によって視力が低下していることを明らかにしている。「スティーブは私の家に会いにきて、庭に一緒に座り、彼が脚本を読んでくれて、完全にとりこになったんです」とデンチが明かしているように、クーガンはまさに彼女の“目”となって支えた。
クーガンは、「それはもう最高だったよ。いまだに、共演したのは嘘じゃなかったよなって体をつねらずにはいられないくらいさ」と語る。さらに、「僕が彼女に対して指示できることなんて全然なかった。テイクの間は、笑わせてばかりいたんだ。キャラクターについて深く話し合うっていうことはあまりしなかった。彼女には彼女のやり方があるしね。でも、彼女から学ばなければいけないことはたくさんあった。いわばテニスの試合さ。彼女はすごくいい選手だからこそ、僕は試合を盛り上げなくちゃいけない。僕はできる限りの最高の演技をして、彼女のレベルに届く、いや近づけるように心がけたんだ」と、シリアスでもありユーモラスでもある、優れたドラマが生まれた秘密を明かした。
「あなたを抱きしめる日まで」は、3月15日から全国で公開。
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