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ベルリン終盤、リンクレーター新作に喝采 福島描く「家路」にはあたたかな拍手

2014年2月14日 21:10

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「家路」ベルリン上映で舞台挨拶に立った内野聖陽
「家路」ベルリン上映で舞台挨拶に立った内野聖陽

[映画.com ニュース] ベルリン映画祭の終盤を迎えた2月13日夜(現地時間)、リチャード・リンクレーター監督の「Boyhood」が上映され、喝采を浴びた。リンクレーターは昨年の「ビフォア・ミッドナイト」に続き2年連続の参加となった。

本作は監督が2002年から製作を開始し、ほぼ10年の歳月を掛けて少年とその家族の軌跡を追った164分の力作。主演のエラー・コルトレーンは少年から大人へと、映画とともに成長を遂げた。とはいえこれはドキュメンタリーではなく、あくまでフィクションである。両親役にパトリシア・アークエットイーサン・ホーク、さらに主人公メイソンの妹役で監督の実娘が出演。ベルリンには監督とともに家族役の4人が揃って参加し、ほのぼのとした雰囲気に包まれた。

幼い頃に両親が離婚し母方に引き取られたメイソンは、学校を転々とし、なかなか環境に馴染めない。愛情はあっても忙しすぎる母親と、ころころ替わる彼女のボーイフレンドに悩まされながら、「大人になることとは」「自分なりの生き方とは」といった命題に直面していく。監督のキャリア初期の作風を思わせるような清々しさにあふれ、ユーモアに富みながらもせつなく深い作品として感動を呼ぶ。

今年のコンペティションはドイツ映画と中国映画が多いことも特色だが、そのなかでは、狂信的なカトリックの両親の元に育った娘の心の変化を描いた独、仏合作のStations of the Crossが、現時点で評価が高い。コンペは14日の夜、トリを飾る作品として山田洋次の「小さいおうち」が披露された後、15日の夜のセレモニーで受賞者が発表される。

他に日本映画では、福島を舞台にした「家路」がパノラマ部門で11日に上映され、原発のテーマとともに注目を集めた。上映後のQ&Aでは現地の観客から、「映画と同様、実際にも生まれ育った土地を離れたくなくて、立ち入り禁止地区で暮らし続ける人はいるのか」といった質問も。現地を訪れた久保田直監督と内野聖陽は、終映後の観客のあたたかい拍手に包まれながら、感動の表情を隠しきれない様子だった。

今回が長編デビュー作ながらフォーラム部門に入選した坂本あゆみ監督の「FORMA」も、145分と長尺にも拘らず会場はほぼ埋まり、上映後のQ&Aまで熱心な観客の反応が見て取れた。本作は学生時代に同級生だったふたりの女性のあいだに巣食う嫉妬や憎悪がある事件に発展するまでを、さまざまな角度から描く。「とてもナーバスになっています」と高揚しながら挨拶をした坂本監督は、独自の物語構成について、「異なる視点から描くことで客観的な見方を示したかった。また、最初にキャラクターを説明し物語を語るというお約束的なやり方とは異なる作り方を目指した」と語った。(佐藤久理子)

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