三吉彩花の初主演作「旅立ちの島唄 十五の春」に小林薫も太鼓判
2013年5月17日 13:15
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[映画.com ニュース] 注目の若手女優・三吉彩花が初主演を飾った「旅立ちの島唄 十五の春」がまもなく東京で公開を迎える。現在高校2年生の三吉は、「女の子ものがたり」「告白」などを経て、「グッモーエビアン!」で毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を獲得するなど、今最も旬な若手女優のひとり。父親役の小林薫と、記念すべき初主演作を振り返った。
沖縄本島から東へ360キロ離れた絶海の孤島・南大東島には高校がない。中学を卒業して進学する若者たちは、15歳の春に親元を離れて島から巣立っていく。三吉演じる島唄民謡グループ「ボロジノ娘」のリーダー・優奈も、あと1年で生まれ育った島を旅立たなくてはいけない。那覇での新しい暮らしに対する不安、ずっと二人暮らしだった父を島に残していく罪悪感、切ない初恋など、さまざま思いを抱えた優奈の1年間が丹念に描き出される。
「この話を聞いたのが15歳の時。親元を離れた直後だったので、脚本を読んで共感できる部分が多かったんです。沖縄が好きなので沖縄が舞台というのも楽しみだったし、初めての主演だったので私に務まるのかなというプレッシャーもあったけど、とにかく撮影が楽しみでした。私の場合は埼玉から東京で距離が近いので、両親と離れると時も『どうせすぐ帰ってこられるし』って軽い別れ方をしました。でもこの作品を通じて、お父さんのことを心配だなと思ったり、もっと家族とコミュニケーションとっておけば良かったなとか、色々なことを考えさせられました」という。
本当に南大東で生まれ育ったかのような方言と雰囲気をまとい、たった2カ月の練習で見事な三線と島唄の腕前も身につけた。「三線は初めて触ったので、とりあえず指の押さえる位置などを覚えた。歌いながら弾くということが最初はできなくてギリギリまで苦戦したけど、初めて挑戦することを楽しんでやる方なので、『このまま特技になっちゃえばいいな』という感じで頑張った」と練習もひたむきにこなした。
沖縄の離島の多くには、家族が離れ離れで暮らさなければならない現実がある。家族が島を去っていく中、ひとり島に残る優奈の父親役を演じた小林は、「15歳のお別れというのは、ほとんどの場合がもう一緒に住むことがなくなるという意味合いもある。子どもには子どもの人生があるから。高校3年間だけでなく、そのまま就職をして島に戻ってくる人は少ない。東京だと、『いい加減に家を出ろ!』ってこともあるけど(笑)」。父親と思春期の娘という微妙な関係性にも、「お母さんは女性だから、久々に会っても着替えや化粧を手伝ったりスキンシップができる。でも父親はそういうスキンシップができない。父親ってすごく寂しい存在だなと改めて思った」としみじみ語った。
小林いわく、最初に内容を聞いた時点では苦手意識もあったという。「実は家族の情愛って僕の苦手とするところ。それぞれの家族にそれぞれの事情があると思うから。だけど吉田監督とお話をしているうちに、そういうものを前面に立てて足し算するような暑苦しい感じの作り方はしないという確信が生まれた。この作品に対する吉田監督の思いを感じて、『やってみよう』という気持ちになった。吉田監督のために一肌脱ごうというスタッフが多くて、吉田監督の人徳や誠実さをすごく感じた」と共感をもった。
そんな親子の切ない別れのシーンは、優奈が歌う“旅立ちの島唄”に託された。実際に南大東の人々の前で、『さようなら』を意味する島唄『アバヨーイ』を立派に歌い上げた三吉は、「南大東島に住んでいる方は、毎年『アバヨーイ』を聞いて誰かを島から送り出す。それが当たり前の文化としてあることなので、皆さんの視線だったり感動を受けて、ただの卒業コンサートじゃない重みを感じた。ちゃんと練習しておいて良かった(笑)」と大きな達成感を感じていた。
女優としてめざましい成長過程にいる三吉にとって、小林をはじめ、離れて暮らす母親役の大竹しのぶら大先輩との仕事から学んだことも多い。「セリフをしゃべっていない時の仕草や佇まい、目で表現する芝居。まだまだ課題なので、そのあたりを小林さんから学ばせていただきました。スポンとは簡単に取り入れられないけど、それができた時の喜びは大きく、芝居の楽しいところ。これからもめげずに頑張りたいです」とさらなる活躍に期待がかかる。数々の“主演女優”誕生の瞬間に立ち会ってきた小林も、「2~3年経ったら俺のことなんて忘れているんじゃない?(笑)初主演って作家が最初の初稿を書くようもので、三吉らしさの良さだとか弱点だとかが全部こもっている映画なのかもしれない。これからどんどん成長して、女優然としてくると思う」と太鼓判を押した。
「旅立ちの島唄 十五の春」は、5月18日から全国で順次公開。
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