岩井俊二監督にとっての「ヴァンパイア」が持つ意味とは?
2013年1月11日 14:00

[映画.com ニュース] 「花とアリス」以来、長編劇映画としては実に8年ぶりの監督作となった「ヴァンパイア」を、原作・監督・脚本・音楽・撮影・編集・プロデュースまで、ひとり7役を務めて完成させた岩井俊二。待望の最新作にして、カナダを舞台に全編英語で撮り下ろしたことでも話題を集めた渾身作が、3月20日にブルーレイ&DVD化されることが決定した。果たして同作は、岩井監督にとってどのような意味を持つ作品だったのだろうか。
「ヴァンパイア」は、実は吸血鬼である気弱な高校教師サイモンが、自殺志願者の血を抜くことを目的に開設した自殺サイトを通して、孤独な女性たちと魂を寄せ合う姿を繊細に描いた異色のラブストーリー。サイモン役を「トランスアメリカ」のケビン・ゼガーズが演じ、「サイレントヒル レベレーション3D(原題)」の注目女優アデレイド・クレメンス、「クジラの島の少女」のケイシャ・キャッスル=ヒューズの出演のほか、岩井監督が見出したミューズ・蒼井優が重要な役どころに扮している。
岩井監督は、本作が欧米人の演じる英語劇でありながらも「僕の中で、主人公サイモン・ウィリアムズは実は日本人である。そしてこの物語は日本の物語である」と言い切る。「海外で映画を撮るというのは、そういう風でないといけない気がしている」という決意を表明し、「日本語で作品をつくれば、それはなんでも『日本製』になってしまう。『日本』というのが一体いかなるものなのかは、案外わからずじまいだったりもする」と日本、そして日本語で映画を撮ることについての弊害を指摘する。
「海外にいると、僕は自分が日本人であることを意識せざるを得ない。そして極めてドメスティックなエッセンスが内側から沸き上がってくる。ああ、これが欲しくて自分は日本を離れたのだ。『ふるさとは遠きにありて思うもの』は室生犀星だが、この視点を得て初めて物が作れる人種がいる。それが自分なのだと、この映画を撮って実感した」と明かす。その意味で、海外で映画を撮ること=「ヴァンパイア」という作品は、岩井監督にとって必然だったのだ。
そして、同作のブルーレイ&DVD発売にあわせて初ブルーレイ化される監督作「undo」「PiCNiC」「スワロウテイル」についても、こう言葉を添えた。「1990年代、僕はいやなことに気づいてしまった。日本とは病院のような国だと。いろんな意味でそう感じた。そしてそんな嫌なイメージから何とか脱出したくて、この3作品をつくった。いや僕の作品はみんな同じこのテーマばかりかもしれない。21世紀に入って震災があって日本は変わったのだろうか? それもまた僕に課せられたテーマだ」
「ヴァンパイア」ブルーレイ&DVDは、3月20日発売(レンタルも同日より開始)。
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