クジラの島の少女

劇場公開日:2003年9月13日

解説

勇者伝説が伝わるマオリ族の少女を描いた愛と奇跡の物語。監督・脚本はこれが日本初登場となる女性、ニキ・カーロ。原作はマオリ出身の作家、ウィティ・イヒマエラの小説『ザ・ホエール・ライダー』。撮影は「ミルクのお値段」のレオン・ナービー。音楽は「アリ」のリサ・ジェラード。美術は「ロード・オブ・ザ・リング」のグラント・メイジャー。出演は新人のケイシャ・キャッスル=ヒューズ、「モアイの謎」のラウィリ・パラテーン、「コラテラル・ダメージ」のクリフ・カーティスほか。2002年トロント国際映画祭観客賞、2003年サンダンス映画祭ワールドシネマ部門観客賞、同年ロッテルダム映画祭観客賞受賞。

2003年製作/102分/ニュージーランド
原題または英題:Whale Rider
配給:日本ヘラルド映画(日本ヘラルド映画=テレビ東京 提供)
劇場公開日:2003年9月13日

あらすじ

ニュージーランドの浜辺の村。クジラに乗ってやってきた勇者伝説を信じるマオリ族は、代々男を族長として続いてきた。しかし族長の長男ポロランギ(クリフ・カーティス)には、勇者と同じ名前がつけられた女の子パイケア(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)しかいなかった。後継者の誕生を心待ちにしていた祖父のコロ(ラウィリ・パラテーン)は、パイケアの存在を受け入れることができない。彼女が12歳になった時、家を離れていたポロランギが戻ってくる。しかしドイツで世界的なアーティストになっていた彼は、族長になるつもりはなかった。コロは村の12歳となる少年たちの中から後継者を探そうとするが、海に投げ入れたクジラの歯の首飾りを取ってくる最終試験には誰も合格しなかった。パイケアはのちに首飾りを難なく取ってくるが、首飾りはコロの不機嫌を恐れた祖母フラワーズ(ヴィッキー・ホートン)の手に託される。まもなく、海の底からクジラの一群が浜に打ち上げられた。コロはこれを終末の暗示と信じ込み、海に返そうとするがクジラたちはびくともしない。だがパイケアはクジラを慰撫し、その一頭に乗って海へと向かった。そのまま海の中に沈んでしまうパイケアだったが、無事に引き上げられる。そしてようやくコロは、パイケアを後継者だと認めるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

4.0伝統と男子偏重の間で

2025年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Jax

4.0選ばれしものの美しい正体

2025年6月29日
スマートフォンから投稿

頑なに伝統を守ろうとする老人
伝説は、伝統は時と共に変わる
息子は糸が切れ、そこを離れた。

親子の断絶
希望の娘
宿るもの
繋がる糸

流れに身を寄せて観た。
自然の美しさが沁みた。

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星組

4.5Hakaは地響き Hakaは海鳴り 生命をもたらすものに幸あれ

2025年6月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2024年の1月のことだ、
ニュージーランドの国会議事堂で、最年少の国会議員、マオリ族の21歳!ハナ・ラフィティ・マイピ・クラークが、議会初登壇の日に強烈なハカ=Hakaを披露した。
そのYouTubeをご存じだろうか。
白いスーツに真赤なシャツ。そして褐色の肌に輝く黒髪。
とんでもない迫力に押されて、僕はその動画を擦り切れるほどに観た。
あれは
「海の彼方からやって来た
我が民マオリの歴史を誇ろう」
というHakaの内容だった。

検索してみたら2025年の今年の彼女のHakaも凄いし!(笑)
この動画も映画と合わせてぜひ見るべき。

今回、配信のお薦めで、中身も知らずに覗いてみた本作だったが、いい目っけもんをした。
「クジラの島の少女」、
原題は 「Whale Rider」。

・・

かつてマオリも、アボリジニも、そして北米のネイティブたちも、
白人政府による強制隔離と民族同化政策の嵐で、彼らの言葉と伝統文化が瀕死の状態にまで追いやられた歴史がある。
(⇒欧米文化の授与、すなわち母語を捨てさせて英語を使わせ、祖霊信仰を否定してキリスト教を信じさせること。親から引き離して子供を白人コミュニティで育てること。
それが侵略白人に対する“原住民ら”の抵抗心を骨抜きにし、“野蛮人”を幸せにする道だと植民地政府は考えたわけだ)。

劇中、働かずに酒浸りになってしまった若者たちの姿や、観光客相手のお土産品作りしかやることのない落ちぶれた姿が、映画にはほのめかされている。

死にかかったクジラに自分たちを重ね、
精霊パイケアの力を受けて、マオリの復活を祈念するための映画なのだろう。

しかし今やニュージーランドは、国会議員の50%が女性で占められるようになった。3年前には女性議員が過半数を超えた世界で6番目の国となった。
そしてついに外務大臣もマオリの女性だ。

男系の男児の跡継ぎしか求めない特殊な生き方をするのは人間だけ。人間以外の生きものたちは、そんな不自然な生き方はしない。

・・・・・・・・・・・・・

【メモ】
僕の母が待望の初子として産まれたとき、おじいちゃんは『女か』とだけ言って部屋を出て行ってしまったのだそうだ。
だれもしらないはずのその一言なのに、祖母は母に、そして母は僕に「この言葉」を伝えた。
そんなことを口にしてしまう必要があったのだろうか。
でもどうしても積年の思いを吐き出して腹いせをしたい。またたとえどれだけ年月が経とうとも収まらぬ怒りを表したい必然が、彼女 =僕の祖母にはあったのだと思う。
祖母は母に伝え、母は僕に打ち明けたわけだ。

祖母と母の実家は、紀伊半島の南端。クジラの港の 隣町だ。
映画を観ながらそれを思い出した。

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きりん

3.5最年少でオスカーノミネートを確認したかった。まあ、なるほどね(笑)...

2025年6月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

最年少でオスカーノミネートを確認したかった。まあ、なるほどね(笑)
主人公に感心するより頑固ジジイにイラつく映画(笑)
伝統は大事だが悪習は断ち切らないと。
日本も同じじゃない?もう愛子天皇でいいと思うんだが(笑)

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はむひろみ