高倉健、モントリオール観客総立ちに感涙「映画祭って良いものだね」
2012年9月3日 13:07

[映画.com ニュース] 俳優の高倉健が9月2日(現地時間)、第36回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門に出品された主演作「あなたへ」の会見に臨み、公式上映にも出席した。上映後、場内からスタンディングオベージョンが沸き起こると、高倉は立ち上がり挨拶。目に涙を浮かべ、「泣いちゃったね。ふっと出てしまったよ。映画祭って良いものだね」と感慨に浸った。
1999年に開催された同映画祭(第23回)で、降旗康男監督作「鉄道員 ぽっぽや」の演技が評価された高倉は、日本人俳優として初めて主演男優賞に輝いている。しかし出席がかなわなかったため、今回初めて映画祭最高責任者であるセルジュ・ロジーク氏と対面。「『鉄道員』の際は、ありがとうございました」と感謝を伝えた高倉に、ロジーク氏は「よく覚えているよ」と笑顔で応じていた。
高倉が海外の映画祭のために現地へ赴くのは、1994年の「四十七人の刺客」でベネチア国際映画祭に参加して以来、18年ぶり。英語が堪能な高倉は、公式会見でも通訳を介さずに質問に答えるひと幕も見られた。今回の出席を決めた理由については、「13年前に最優秀男優賞をいただいたので、どこかで御礼がしたかったことと、降旗監督が来られなくなったので、しぶしぶ来ました」と語り、場内の笑いを誘った。
公式上映後、ハンカチで目頭を押さえた高倉は「今日みたいに映画の後にお客さんと時間を過ごすのは『八甲田山』以来です。終わった後、皆さんの拍手を受けて、なにかわからないゾクっとするものがありました。これが映画祭の持っている魔力なのでしょうか」と述懐。さらに、「何10年も役者をやってきても、こんな経験をするんですね。心に衝撃を受けました。映画にはそういう力があります」と語っていた。
日本映画の黄金期をけん引してきた高倉の通算205本目の出演作で、「夜叉」「あ・うん」のプロデューサーで2008年に死去した市古聖智さんが遺した原案を、降旗康男監督と脚本家の青島武が再構築したオリジナルストーリー。配給の東宝によれば、8月25日に全国339スクリーンで公開された今作は、封切りから9日間で観客動員82万人を突破する大ヒットを飾っているという。
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