震災経て描いた秋葉原通り魔事件 廣木隆一監督作、予告編公開
2011年12月20日 18:00

[映画.com ニュース] 「余命1ヶ月の花嫁」「軽蔑」で知られる廣木隆一監督の最新作「RIVER」の予告編が、このほど公開された。
2008年6月に発生した秋葉原無差別殺傷事件を題材に、最愛の人を失った喪失感から再生する姿を静かに描く。「転校生 さよならあなた」(大林宣彦監督)の蓮佛美沙子をはじめ、中村麻美、根岸季衣、尾高杏奈、柄本時生、田口トモロヲ、小林ユウキチらが出演する。
予告編は、恋人を失った女性が、事件現場の秋葉原でさまざまな境遇の人々と触れることで、止まった時間のなかから再び歩き出す。恋人の面影を探し求めるひかり(蓮佛)は、アルバイトのスカウト(田口)に声をかけられメイド喫茶に足を踏み入れる。蓮佛はピンク色のメイド姿に挑戦し、秋葉原の独特の空気のなか、日常を取り戻していく女性の繊細な感情を表現する。
「秋葉原の無差別殺傷事件をモチーフにした作品を撮りたいと思っていた」と廣木監督は、製作経緯を明かす。そして、「今の20代、30代は他人との距離をうまくとれない。人間関係が希薄な印象があって、自分を誤魔化したり、自信を持てずにいる感じがする。でも、今いるところと過去も未来も地続きだし、ばらばらに生きているように見えても、人はどこかでつながっているんだよと」という思いを込めた。
製作時期が東日本大震災発生時と重なったため、「映画を職業にしている意味、映画に何ができるんだろう」と悩んだという。「自分の目で現実を見て、映画人としての答えを自分で見つけるしかないと被災地に行ったんです。ようやく秋葉原の悲劇と東北の悲劇が重なった。現場を肌で感じることによって、フィクションでも伝えられるし、記憶に残ることがあるなという確信も持てた」と語った。
「RIVER」は、2012年3月10日から全国で公開。
(C)2011 ギャンビット
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