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カンヌ映画祭、本命「ツリー・オブ・ライフ」がパルムドール戴冠で終幕

2011年5月23日 19:00

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主演女優賞に輝いたキルステン・ダンスト
主演女優賞に輝いたキルステン・ダンスト
写真:AP/アフロ

[映画.com ニュース] 第64回カンヌ映画祭が5月22日(現地時間)、テレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」がパルムドールを受賞して閉幕した。

クロージングセレモニーでは、審査委員長のロバート・デ・ニーロが舞台に登場したところで会場は総立ちに。準備してきたフランス語でスピーチを始め、「仲間たち(コンパニオン))」というくだりを「きのこ(シャンピニオン)」と発音し、会場をなごませた。

強豪ぞろいのコンペティション部門にあって、日本映画2作品は受賞を逃した。結果的に、7つに限られた賞がバランスよく行きわたる形となった。パルムドールは、本命の1本と目されていた「ツリー・オブ・ライフ」が受賞。だが、最後までマリック監督がカンヌの舞台に上がることはなかった。デ・ニーロ審査委員長は、授賞の理由を「作品の規模、重要さ、テーマなど、何をとっても独特でパルムドールに値することは明確だった」と語った。

グランプリは、ダルデンヌ兄弟の「ザ・キッズ・ウィズ・ア・バイク」と、トルコのヌリ・ビルジュ・セイラン監督作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アナトリア」が分け合った。ダルデンヌ兄弟同様、演出力の高さを見せたアキ・カウリスマキの「ル・アーブル」や、ミシェル・ピコリ扮する法王が人間味あふれるナンニ・モレテッィの「ウィ・ハブ・ア・ポープ」、峠を過ぎたロック・ミュージシャンを演じたショーン・ペンの変身ぶりがユーモラスな「ディス・マスト・ビー・ザ・プレイス」なども、評判は良かったが無冠に終わった。

審査委員長を務めたロバート・デ・ニーロ(手前)と司会のメラニー・ロラン
審査委員長を務めたロバート・デ・ニーロ(手前)と司会のメラニー・ロラン
写真:Visual Press Agency/アフロ

主演男優賞に輝いたのは、ハリウッドの1920年代を舞台にしたユニークな無声映画「ジ・アーチスト」に主演したフランスのジャン・デュジャルダン。女優賞にはラース・フォン・トリアー監督の話題作「メランコリア」のキルステン・ダンストが輝いた。トリアー監督は会見での問題発言が原因で追放されてしまったが、作品自体はマリック監督に勝るとも劣らぬスケールと独創性を持った大作。ヌードシーンも辞さず、複雑なキャラクターを演じきったダンストの受賞は妥当と言える。

大胆な選択と話題をさらったのは、監督賞の栄冠を手にしたニコラス・ウィンディング・レフンの「ドライブ」。表と裏の顔を持つ孤独なカー・スタントマンの姿を、切れのいい抑制された演出で描いた、ライアン・ゴスリングとキャリー・マリガンの共演作だ。

受賞リストのなかで最も異論が起こったのは、審査員特別賞の「ポリス」と脚本賞に輝いたイスラエル映画「フットノート」。特に後者は、反ユダヤ的な発言をしたトリアー監督のスキャンダルに影響を受けた、政治的配慮のある授与だったのではないかともささやかれた。

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