函館市民の思い結実!「海炭市叙景」東京国際映画祭コンペ部門出品
2010年8月28日 09:48
[映画.com ニュース] 加瀬亮の主演最新作「海炭市叙景」が、第23回東京国際映画祭(10月23~31日)のコンペティション部門に出品されることが決まった。
同作は、芥川賞候補に5度ノミネートされながら、41歳で自殺した作家・佐藤泰志の遺作を熊切和嘉監督が映画化。5編からなるオムニバス作で、加瀬のほか谷村美月、竹原ピストル、小林薫、南果歩、三浦誠己、山中崇らが結集した意欲作だ。
佐藤の故郷である北海道・函館をモデルにした架空の地方都市・海炭市を舞台に、さまざまな事情を抱えた人々が必死に生きる姿を描く。絶版になっている原作を読んだ製作実行委員長の菅原和博さんが映画化へ向け始動。製作費5000万円の低予算ながら、市民に寄付を呼びかける募金活動が奏功し、約1500人から1200万円が集まった。
主要キャスト以外にも大森立嗣、あがた森魚、伊藤裕子、森谷文子、村上淳らが熊切組に参加すべく函館入り。しかし、ほとんどの出演者はオーディションを経て抜てきされた一般の函館市民だ。それだけに、今回のコンペ部門出品一番乗りに製作委員会の喜びもひとしお。菅原さんは「地方でつくられた小さな映画が大きな映画祭で上映される。感激の極みです。目を向けてくれた映画祭に感謝します」と感慨に浸った。
北海道・帯広出身の熊切監督は、大阪芸術大学の卒業制作「鬼畜大宴会」がPFFアワード97で準グランプリ、伊タオルミナ映画祭ではグランプリを受賞。2作目の「空の穴」はベルリン国際映画祭フォーラム部門、加瀬の主演デビュー作「アンテナ」はベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門で上映されるなど、国際経験も豊富。今回の出品について「素直にうれしいです。小さな出会いから生まれたこの映画が、国際映画祭の巨大スクリーンで上映されるのです。多くの方に、海炭市の人々に思いを馳せていただけたら、作り手としてこれ以上の幸せはありません」と静かに喜びをかみしめている。
原作は春夏秋冬を9編ずつにまとめ36編で完結する予定だったが、佐藤の自殺により夏までの18編で物語は途絶え、未完成のまま刊行された経緯がある。それでも、絶版を嘆く製作委員のひとりのTwitterでの“つぶやき”が大手出版社・小学館の編集者の目に留まり、10月6日に文庫化が決定。“小さな”映画が起こした奇跡は、まだまだ終わりそうにない。
「海炭市叙景」は、11月から函館で先行上映し、12月から全国で順次公開。
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